Wednick the Devil’s own

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青春

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幼い竜種、ナイナカリフとナイナルニアの双子の兄弟。まとめてナイナスと呼ばれている。いつのまにかエル=レイの船「コラソン・ド・オロ」に入り込み、住み着いていたため、雇用される事となった。主に甲板清掃や台所周りを任されている。いわゆる水夫。
絵に描いたようなおてんばやんちゃ坊主ども。
ナイナカリフはやや活動的で、ナイナルニアはやや内向的という違いはあるが、基本的には連れ立って行動しているため、差異を見出すことは難しい。お互いに離れたがらず、常にべたべたとくっついている。無理に引き離せば、この世の終わりぐらいの勢いで泣くので、レイの部下は誰もそのような無謀はしない。
お互いを何より大切に思っている。ナイナカリフの宝物はナイナルニアで、ナイナルニアの宝物はナイナカリフ。
周りの大人に遊んでもらうのが好き。かくれんぼとか好き。
誰かの仕事の邪魔をしてエル=レイにケツを引っ叩かれていることがある。
もちろん、嫌いなことはお互いに離れること。離そうとする人やものごと。
近接戦闘も得意だが、遠方狙撃はもっと得意。どちらか(主にナイナルニア)が観測手として立ち、どちらか(主にナイナカリフ)が撃つ。

ナイナスはふたりでひとつの存在であって、ふたりでいなければ意味がない。血を分けた半身であるという以上の何かが、ナイナスにはある(と、本人たちが信じている)。まるでどちらかが死ねば、残された方も死んでしまうのではないかと思うほど、その繋がりは濃い。
レイや彼の部下には隠しているが、彼らは本来傭兵として育てられていた(クムトールやレイはこのことに気づいている)。とある組織で養育されながら、戦闘や殺しのイロハを教わり、成績もそれなりに優秀なものであったようだ。
しかし、ナイナスの先輩にあたる双子の傭兵が、組織を巻き込んだ大喧嘩でお互いに殺し合い、組織も少なからずダメージを受けた。そのため、同じく双子であるナイナスを隔離、ないし(一方を)処分しようという決定が降りる。それを知ったナイナスは、自分たちの宝物を守る為、組織を抜け出した。そして、追っ手から逃れながら辿り着いたのが、たまたま停泊していたコラソン・ド・オロであった。
逃亡先が定位置・定国にいない船舶であったこと、また、組織内部での別の問題の発生によって、ナイナスは「決して逃れられない」と云われた猟竜の牙をすり抜けた。それは偶然であったかもしれないが、船の持ち主であるレイには感謝しようということで、彼らはレイに従っている。
・レイ
いっしょにいさせてくれるので、いいひと!
・ジンフェン
たぶんお母さんってこんなかんじ!
・クムトール
ぜんぜんいっしょにあそんでくれない!
・グラスバーグ
船長のめいれいはぜったい!
・スターウェル
アネゴ!あそぼ!ゲームしよ!
血 族:竜種
年 齢:幼く見える
誕生日:林檎の実の季節
身 長:120cmぐらいかな?
体 格:ショタ
口 調:元気な少年
「レイだ!」「レイだ!」「みて!おそうじした!」「ごはんつくった!」「「あそぼ!!」」
「ぼくらはふたりでひとりだよ」「ほかはなんにもいらないけど」「でもみんなのことは好き!」

トラムンタナの金庫番。明朗会計がモットーで、また社内システムのお世話を引き受けるエンジニアでもある。要は経理システムを保守運用している人。
天才ハッカー“スターラビット”としてその筋では有名人。デジタルネイティブ世代の寵児であり、幼い頃から遊び半分、ゲーム感覚でハッキングを繰り返していたようだ。かつて、とある企業のサーバールームで飼い殺しにされ、ブラック労働を強いられながらネット掲示板に縋って生きていた時期がある。現在はその環境から拾い上げてくれたエル=レイの下で働けることを嬉しく思っている。
物理的にも精神的にもあまり表に出たがるタイプではない。引きこもり体質で夜型だが、怖いもの知らずの年頃でもあり、人見知りや物怖じはあまりない。
大人しくおっとりして見えるが、ネット仕込みの舌鋒は鋭く、レスバも強い。あっけらかんとしたダークウェブギャル。
ゴアホラー、スプラッタ映画などを好む。イカれたサメが出てくるやつも好き。虫系のうぞうぞしたホラーは苦手。
食べ物は呪文を唱える系カスタムドリンク、ファッションはゴシック寄りの地雷系が好き。
竜種なので、多少のことはできなくはない。しかし、スターウェルの強みはあくまで頭脳にある。
遊びの延長でハッキング(クラッキング)を覚えたためか、社会的ルール(法令など)をあまり重視せず、自分の楽しみや利益を優先する傾向がある。ただ、自分を救い出してくれたエル=レイや、彼の配下の竜たちのことは信頼し、身を委ねているので、彼らがダメだと言うこと、彼らを困らせるようなことは控えている。まだまだ社会勉強中といったところ。
竜種にしては珍しい真っ当な家庭(少なくとも、幼い娘にインターネット環境を用意できる程度の暮らしは、竜種にはそう多くない)の出身だが、両親は既に何らかの理由で亡くなったらしい。
幼いスターウェルが自ら、劣悪な労働環境といえ働かなくてはならなかったことには、そうした事情があるようだ。
・エル=レイ
自分を見つけてくれたこと、助け出してくれたことへの感謝。彼の言うことなら聞いてもいい。
・グラスバーグ
恋人。呼び方は「だぁ」。レイが助けてくれた人なら、グラスバーグは叱ってくれた人。彼の隣にいれば、ふにゃふにゃした自分の形が固まる気がする。
血 族:竜種
年 齢:19歳
誕生日:晩秋の月が綺麗な夜
身 長:150cm程度
体 格:胸以外は細くて軽い
口 調:歯切れ良い
「いいよ。あとでやっておく。おつかれさま。」
「良かったね。給料アップだよ。レイのおかげ。」
「だぁはパソコン覚える気ないから、教えるの嫌。途中で寝ちゃうし。」
前職からもぎ取った退職金を株式運用しており、ひと財産築いているそう。

商社トラムンタナの旗艦「コラソン・ド・オロ」を任されている竜種の船乗り。かつて名を知られた海洋冒険家であり、彼の冒険がきっかけで開拓された航路も少なくはない。
彼は海と船、そして冒険と浪漫をこよなく愛する。それはまさしく、彼の生き甲斐である。
豪放磊落、こまけえこたあいいんだよタイプ。賑やかで楽しいことが好きだが、しかし船のこととなるととにかく細かく口うるさい。特に「乗員の気の緩みは整理整頓の緩みに出る」ことを何度も口にするので、船内はよく整頓・清掃され、美しく保たれている。
彼の持つ船や海の知識・技術は、社外でもそうそう右に出る者がない。社員は皆それをよく理解しているため、船内でグラスバーグに逆らうことはしない。
海、船、冒険、浪漫。グラスバーグの頭の半分はそれで占められている。残りの半分は恋人であるスターウェルのことで占められている。金をもらって船を触れて海に出られる今の職場環境には大変感謝している。
船に愛着は持つが、船を相棒とか呼ぶタイプではない。より早く巧みな船が好き。
嫌いではないが、デジタルなものはかなり苦手。船内の設備には最新のデジタル機器も多く用いられているため、それについては苦心して学んだようだ。
腕っぷしは強く、素手での喧嘩であれば大抵の相手には負けない。クムトールに腕相撲で勝てるのは社内ではグラスバーグのみである。
物心ついた頃から船と海と人生を共にし、冒険に生きていた。そんな彼にとっては、船に乗ることが生きることであり、未知に挑むことが呼吸であった。
時代が進み、獅子も竜も地図から消え去ったころ、グラスバーグは生きる意味を、意欲を失いかけていた。それは長命を生きる竜種にとっての致命の事態である。それでも構わない、とそのまま微睡みに沈んでしまえば、竜種は命を落とすのだ。
うとうとと船を漕ぐ日々に、不意に黄金の輝きが射した日のことを、グラスバーグは忘れないだろう。微睡みの底、深海の澱まで突き刺すほどの眩しい光。——新たな意味を得た身体。エル=レイは彼にとって雇い主であると同時に、彼の意味なのだ。
古い竜種(注:竜種は元来、子育てなどしない種族)であるため、両親の存在などを意識したことはない。そもそも、おそらく既にどこかで果てているだろう。
彼にとっての最古の記憶は、木造の幌船で下働きをしていたことだ。いつか自分の船を持つ、と心に誓いながら、彼は潮騒に揺られていた。
・エル=レイ
雇用主であり、恩人でもある。照れ臭いので普段はそういうことをあまり口にしない。
・スターウェル
歳の離れた恋人。大真面目なお付き合いをしているので、茶化すとめちゃくちゃ怒る。
血 族:竜種(古竜)
年 齢:マジで記憶なし
誕生日:ガチで記憶なし
身 長:2m近い
体 格:肉付き良くたくましい
口 調:豪快でやや乱暴
「好候!そのまま突っ走れ!」
「スタぁ〜、オレにも”ぱそこん”教えてくれよぉ…」


竜種の職能ギルドこと「竜十字騎士団」に所属する騎士のひとり。現在は派遣の形で、護衛としてエル=レイに雇われ、商社トラムンタナに属する。若く見えるが、それは竜種故のことであり、年齢的・精神的には既に老境に達している。
無口で、あまり感情的ではなく、無機的な雰囲気を持つ。口調も常に丁寧語で、砕けた喋り方はしない。周囲からの印象として、冷たい、冷静、あるいは生真面目だと取られがちだ。
実際のところ、彼は非常に獰猛で暴力的な気質を持っている。騎士団の竜は、そうした竜の悪性とも言える部分を自らの意思で封じられるように鍛錬する。そのため、滅多なことでは感情を露わにしない。
目と耳を隠しているのもその一環である。余計な情報を遮ることで、彼の精神はより安定を見せる。すなわち、彼の本性が明らかになるとすれば、肉体的または精神的に追い詰められた時だろう。
落ち着いた環境、静寂を好む。心を乱されない環境に身を置きたがる。反対に、(見た目はともかく)精神面は老成しているため、若者が好むようなことはあまり好まない。
生来の凶暴性のため、戦うこと自体は好き。平穏が続くとつまらないと感じる事もあり、そうした時は鍛錬で誤魔化す。側から見れば、トレーニングが好きなように見えるだろう。
誤魔化しをするとき、クムトールは「いまだ人を襲わず、喰らわない自分」に安堵すると共に、「凶暴な本性を持つ自分」に嫌気がさす。
帯刀しているが、剣を鞘から抜くことはほとんどない。騎士然とした佇まいや装備は、竜十字騎士団という彼の所属を表す役に立つため、多少なりとも「弁えた」者であるなら、無策で喧嘩を売ることはしないからだ。そして、弁えない相手には得物を用いる必要などない。
故、彼の二つ名の由来でもある黒い刀身を持つ剣、その美しい剣筋を見られる機会は多くない。しかし万が一の場合、彼は生来の凶暴性を遺憾なく発揮するだろう。なお、多くの竜種の得物と同じく、クムトールの黒剣は彼の血を固めたものだ。刀身の黒さは、彼の血が濃く、古い竜種であることを示している。
己の凶暴な部分、竜としての悪性を恥と捉え、慎ましくあろうとする姿は美しい。が、竜十字騎士団の中でも彼ほど真摯に、ストイックに教義を受け止め、騎士たろうとする者は少ない。
竜のそうした獰猛で凶暴な側面は、竜が愛情と慈しみ深い者であることと表裏である。悪性の否定は善性の否定でもあり、己が竜であることを許容しない、自己否定へ繋がるものでもあるからだ。
クムトールは恐れている。自分の内にある竜が、いずれ自分の大切なものを破壊してしまうことを。
竜種にしては珍しく、きちんとした生家があり、父母もまた竜の騎士であった。彼らは幼きクムトールの内に竜の悪性を見出し、それが彼と共に育つことを恐れたのだろう。クムトールは幼いころから騎士としての教育を受け、それを愛情として育った。
・両親
既に他界しているが、両親が常にクムトールを恐れていたことを、クムトールはしっかりと覚えている。
・エル=レイ
雇用主。彼があるじである以上、大切にするのは当然のことだ。そう自分に言い聞かせているが、クムトールのエル=レイに対する過保護ぶりは(無自覚に)相当なものである。
血 族:竜種(純血統)
年 齢:60歳までは数えた
誕生日:猛暑の夏
身 長:190ちょい
体 格:着痩せ+肉付きしっかり
口 調:無口、必要最低限
「御退がりを。荒事など、あなたは我々に任せておけばよろしい。」
「私は主人の剣であり盾です。それ以外のものは必要なく、従って、あなた方とは馴れ合う必要がありません。」(珍しく長文を喋ったと思ったら)

商社トラムンタナの創業以来、社長秘書として務めている竜種の女性。雇用主であるエル=レイからの信頼も厚く、曰く「彼女が居なければ仕事が回らない」。一を聞いて十を知るどころか、百の仕事で答えてくれる有能ぶりであるらしい。
若い頃はヤンチャしてた、と本人談。
こう見えて二児の母であり、とうに子育ても終えて子供たちは独立している。ベテランのママである。竜種が自らの子の面倒を見ることは珍しく、彼女の亡き恋人と子供たちへの愛情の深さを伺わせる。
冷静沈着でテキパキとした仕事ぶりだが、性根はお茶目で悪ふざけが好き。しかし、仮にも雇用主であるエル=レイを揶揄っていじることを許されているのは、彼女の仕事ぶりや性格故ではなく、互いに創業以来の戦友であるところが大きいのであろう。
カレーが好き。毎週かならず一度は作るらしい。甘口派閥。元を辿れば、今は亡き恋人、子供たちの父親が好きだったものだ。
彼を失う原因になった自動車や峠道には、いまだに良い印象が無い。
できなくはないが、もっと適任の竜種が側に控えているので、積極的に戦うことはない。
恋人をあっけなく事故で失ったことから、人は死ぬ時はあっさり、あっけなく死ぬものとして捉えている。生命は一瞬で失われ、最悪な時に底はない。なにせ、彼女は彼と同じ車に、彼の隣に座っていたのだ。彼の血飛沫が彼女の肌を濡らしたときのことを今もはっきりと覚えている。それがどれほど「クソな」体験だったか、語りこそしないけれど。
それでも彼女が生きなければと思ったのは、そのとき彼女の胎に双子の生命が宿っていたからだ。彼女を殺そうとしたのも生命であり、生かしたのもまた、生命である。
だから金峰は、命を尊び言祝ぐ。日々、死に向かいながら生きているものを美しいと感じる。愛おしいと思い、慈しむ。それが自分より遥かに弱く脆い、人類種であればなおのことだ。
彼女自身がそれを語ることはない。おそらく、楽しい思い出ではないのだろう。
出身地は東邦である。それは彼女の名前が東邦風であることからも察することができる。
・子供たち
双子の子供たちとは、彼らが独立してからも仲が良い。頻繁に連絡を取り合っている。彼らの片方はレイの名を、もう片方は亡き父親の名を貰っている。
・エル=レイ
雇い主であり、大切な存在でもある。戦友と形容するのが最も相応しいと感じている。
血 族:竜種
年 齢:歳上の女に尋ねることじゃないだろう?
誕生日:初霜の降りる頃
身 長:長身、2mを超えている
体 格:すらりとしているが、骨格はがっしり
口 調:飄々として抑揚が強い
「いやあ、旦那様には頭が上がりませんからねぇ」
「レイ、アンタってば可愛いところもあるじゃないの。」
「アタシはアンタたちのママじゃないよ!お尻ぐらいは自分で拭くこったね!」


クローバー貿易商会に出入りしている竜種の青年。殺し屋として、商会会長オルティ直々に雇われている。
血 族:竜種
年 齢:20代
誕生日:不明
身 長:168cm(ブーツ込み174cm)
体 格:痩身、筋肉質、しなやか
口 調:粗暴
「……クソ不味いなァ、このコーヒー。」
「ッだが……! 俺は竜って獣だ! ——たとえこの頭だけになっても!! 俺は俺の魂を賭けて、お前を殺してやる……!!」
健康的で鮮やかな褐色の肌に、夏草もかくやの鋭さで乗っかった、鬣のように逆立つ深緑の髪。
重たい前髪の下で、黒いはずの瞳がぎらぎらと光る。切長で目尻の位置が高い眼差し、長く先端が尖る耳、唇からわずかに覗く牙はいかにも竜種然としている。
表情は豊かなほうで、笑っていれば年齢よりも一層幼く見える顔立ち。服装も常にラフで、小柄な事も相まって一見すれば不良少年である。
とても身なりが良いとは言えないが、本人の好みに拠ったスタイルを貫く。見た目に殺し屋らしいか、と言われれば全くである。
荒っぽく好戦的で、負けず嫌い。
口より先に手が出て脚が出る。しっかりと殴り飛ばした後で「お前ムカつくんだよ!」と叫ぶタイプ。頭は悪くない、だが考えもしない。それは判断の早さ、瞬発力に思考速度が追いつかないせいでもある。そして、一度考え始めると、どうしたって嫌なことまで思い出す。嫌なことも考えなくてはいけなくなる。エヴァグリーンはそれを嫌うのだ。
意外にも面倒見は良く、兄貴肌。特に、仲間と認識した相手には甘い。他人の面倒を見ることは、エヴァグリーンに自分の存在を真っ当に認識させてくれる。本人にその自覚はないのだろうが。
然り、生来孤独であったが故に、エヴァグリーンは真っ当なコミュニケーションの段階を踏んでこない。「そうしたい」が先に立ち、「どうするか」は後で来る。殴りたいから殴るし、側にいたいから付き添う。ある意味分かりやすい。
敏捷にして重撃。その拳は風を切り、剣脚は大地を割く。有り体に言えば馬鹿力。戦法もかなり無茶苦茶で、駆け寄って潰すを繰り返すのがほとんどだ。そして、竜種であるからそれだけで十二分に強い。人類種はおおよそ敵ではなく、エヴァグリーンにとっては「つまらない相手」以外の何者でもない。故にほとんど無自覚に、舐めてかかる。そのせいで手痛い反撃を食ったこともある。
しかし、大味な闘い方は消耗が激しく、また見切ることも容易い。故に搦手を得意とする相手には弱い。そして、同類である竜種を相手にすることもまた難しい。単純に力が互角なら、勝敗を分けるのはその技に他ならないからだ。
・殺し屋としてオルティを襲撃するが、逆に捻じ伏せられ取引をすることになった。オルティを殺さない代わりに、ある艦の情報を提供される約束で。
・当初はオルティの持つ情報だけが目当てであった。それはオルティの側も同じである。エヴァグリーンは自分がただの武力、武装として扱われていることを理解していた。必要とされているなら、別にそれで良かったからだ。
・オルティとの取引関係は艦を潰したことで終了したのだが、オルティを殺すことはせず、相棒でいることを選んだ。それは選ばれるだけのエヴァグリーンが、初めて自分から選んだ居場所だった。
その竜は、とある『艦』の上で生まれた。
生まれたばかりの幼い竜は、そこが大きな戦艦の上であるとは知る由もなかった。その上に作り上げられたパノラマ的な大地を、世界のすべてだと信じていた。偽物の世界の中で、おだやかな日々が過ぎていく。
ある日、竜は艦を”降ろされる”ことになった。蒐集戦艦イーデン。その名の通り、艦は楽園を模した趣味の悪い箱庭だった。竜はただ、価値がないと見なされたのだ。
廃棄される瞬間に、それが世界ではなかったことを知った。冷たい海の中で、竜はその艦の姿を確かに見た。薄れる意識の中に強い嫌悪と怒りの火種を灯し、艦は何処かへ去って行った。
——エヴァグリーンという名は、「福音の若木」を意味する。
竜種は、自らがどこで生まれたものか、どこから来たものかを表す名を己で名乗る。楽園から捨てられた彼は、自らをやがて楽園へ還る者として、そう定義した。すなわち彼はその時から、蒐集戦艦への復讐を誓ったのである。
「俺にはお前が必要だ、エヴァグリーン」
そんな言葉で絆されたつもりはなかった。けれど、必要とされることは気分が良かった。
泥水のような、不味いコーヒーを流し込む。誰かを殺してこいという単純な仕事をこなす。それだって人生だ。けれど、生きている気はしなかった。
オルティの執務室は、コーヒーの芳香がした。
何かこだわりがあるのだろうと思ったけれど、オルティはミルクと砂糖を馬鹿みたいに混ぜて飲んでいた。こだわりを持ってコーヒーを淹れていたのは、彼の右腕であるロータスだった。ロータスがその無法に涙を飲んでいると知ったのは、もっと後になってからだ。
仕事だってそうだ。オルティはエヴァグリーンを使い走りにして、あれこれ何でもやらせたがった。そんな毎日は鮮やかで煩くて、鬱陶しいほど眩しかった。
考えるのは得意じゃない。それはいつも、自分がなぜ今も生き続けているのかという疑問に帰結する。竜種は生きる意味を失えば、世界に興味を失くし、いずれは死ぬ。だから、自分が生き続けているのは、きっとこの胸の奥底に、復讐を願う気持ちがあり続けているからだ。そう信じる。そう信じなければ、何のために生きているのか分からなくなる。
——わからない。何のために生きているのか。
必要だと言われた。請われた。それを理由にしても良いのかもしれないと、そう思い始めたエヴァグリーンの前で。オルティはあっさりと、自分の命を手放す決断をした。クソッタレが、ふざけんな、馬鹿じゃねえの。馬鹿だとはずっと思ってたが、ここまでかよ、いい加減にしろよ。そんな言葉は何ひとつ、エヴァグリーンの唇を通らなかった。オルティの腕を強く掴む。そのまま駆け出したエヴァグリーンは、叫ぶようにただ、それだけを言った。
「俺にはお前が必要だ、オルティ!!」
ふたりで事務所に戻った後、オルティは黙ってコーヒーを淹れた。
それはお世辞にも美味いとは言えず、泥水のようなひどい味だった。
けれど、人生でいちばんのコーヒーだったと、エヴァグリーンはそう信じている。
竜種の青年。音楽に傾倒しており、特にスラッシュメタルが好き。自分でもギターを弾くが、書く曲は主にプログレ。
血 族:竜種
年 齢:21歳
誕生日:夏の入り口のころ
身 長:183センチ
体 格:細っこい
口 調:やわらかく人懐こい
「ねえ、いっしょに来てくれない? 当方、ボーカル募集中。」
「わかるドラネスってマジでうるさいんだけどそこがいいんだよねギター抜きのスリーピースでKingsは5弦ベースっていうガチで意味わかんないの弾いててこの早弾きでベースなのにギターみたいな味わいが出ててTigerもほとんどスネアしか使ってないのにビートめちゃくちゃ正確でマジで機械なのみたいな所にJOExxxのこのシャウトよ神か?」
短くふわっとした黒髪、陽のような金の瞳。竜種のため、耳は長く尖っている。肌は白く、名前も相まって北国の出を思わせる。華やかな見た目ではないが、朴訥な親しみやすさのある雰囲気。
民族調の草木柄の入った服装を好み、小物類は赤で揃える。イヤーマフ代わりにもしている、ヘッドホンを首に下げていることも。もちろんヘッドホンの色も赤。
指弾きでエレキギターを弾いているので、爪の保護を兼ねて赤くマニキュアをしている。細やかなところに気遣いが出るタイプのおしゃれさん。
朗らかな陽のオタク。人によっては馴れ馴れしいと感じるかもしれないが、嫌味のない人懐こい態度。好きな物事には真っ直ぐで遠慮がない。特に音楽のこととなると煩く、語り出すと長く、早口になる。
DRÄDDIGÜN’S NEST(ドラディガンズ・ネスト/ドラネス)の大ファンであり、彼らに憧れて音楽を始めた。エレキギター(赤のフライングV)とアンプその他の機材には惜しげもなく金を使い、本人は安物の食事で済ませる音楽貧乏。
竜種であるためフィジカルは高い。とはいえ、どうしてもと言われればケンカはできる、という程度のやる気。
竜種の殺し屋で構成された組織、”猟竜”のメンバーのひとり。少女とも少年ともつかない可憐で幼気な容姿とは裏腹に、ノエルは組織のエースである。
血 族:竜種
年 齢:13歳
誕生日:12月25日
身 長:150cm前後
体 格:やや小柄で、少女らしい
口 調:無邪気な惨忍さ
「すごい! 初めて見た!! 本当に本物の命乞いだあ!! ねえ! おじさん本当になんでもする? じゃあボクの家畜になる!?」
「へぇ、ボクと戦う気なんだ。いいよ、片手間に相手してあげる。カップラーメン程度は持たせてよね。」
誰もが振り返らずにはいられない、美少女然とした姿。
白く透明感のある肌は、頬や指先で柔らかく薄桃色に色づいている。
髪はつややかで瑞々しい、金色がかった若草色。アシンメトリーの前髪は右眼に被さるように長く、後ろ髪は短い。やや癖のある髪質で、ところどころ後毛がはみ出している様子さえ可愛らしい。
くっきりとした睫毛をあしらう、大きな目は目尻の位置がやや高い。瞳は毒のような、とろりとした蜂蜜色。まぎれもなく竜種だと証明をするかのように、その瞳孔は美貌にそぐわないほどの鋭さを湛えている。
小さく、それでいて鮮やかで形の良い唇からも、竜種らしく牙がこぼれて見える。本来は長いはずの耳は、猟犬のように外耳の一部を切り取られてあり、シンプルなピアスで飾られている。
しなやかで幼い肢体は、組織から与えられた硬質繊維の戦闘服に護られている。派手で明るいライムグリーンを好んで着て、足許はいつも高いピンヒールのブーツで包んでいる。
ノエルの振る舞いは、実に年相応の少年少女らしい。
ただ、その全てに竜種の無茶苦茶な倫理観や、馬鹿馬鹿しいほどの身体能力が加味されているにすぎない。無邪気で愛らしく、惨忍で無慈悲で、気分屋で気まぐれ。自分が楽しいと思うことを好むが、何を楽しいと感じるかはその瞬間においてころころと切り替わる。自身の選択の結果がどうなるかを深く考えることはなく、気が向いたので/気が向かなかったので「そうする」。ノエルは130%気まぐれでできている。気まぐれの結果として自分が死ぬことになるとしても、ノエルは何も気に留めることはない。
そして自由気儘なノエルは、誰かに定義され、決めつけられることを嫌う。命令されることや拘束されることも嫌がる。仕事でなければ、上役や客の指示に従うこともないだろう。
それでも日々、指示を聞き任をこなすのは、殺しを好んでいるから、ではない。「プロだから」である。ノエルはノエルなりに、矜持を持って殺し屋を勤めている。生まれつきそうあれかしと定められたノエルにとっては、仕事は呼吸をするのと変わらない。
仕事で殺す相手は、仕事なのだから遊ぶことはない。ノエルにとっては人類種の相手など、赤子と戯れるようなものだ。常に手を抜いていると言っても良いほど、ノエルは仕事で”本気を出す”ということがない。
携えた武装はパイルバンカーであり、ノエルの血を固め、杭として撃ち出す砲門となる。破壊力は有り余るほどあるものの、この武装は完全に過剰かつ、本当に余分である。戦闘機に戦車を牽かせるようなものだ。ノエル自身も、ポテトチップス専用トング程度に思っている。本気で戦う時には——そんな機会はまず滅多にないが、真っ先に投げ捨てて体を軽くするだろう。

「竜種」と聞いて、君の中に思い浮かぶものはおそらく”これ”だ。
強大な爬虫類の姿をした怪物、翼持つ蛇。知能が高く、ブレスを吐き、魔法を操る幻想の生き物。
ええと……そういうファイナルオオトカゲファンタジーが無かったわけじゃあないんだけどね。そのtheドラゴンは、一旦傍に退けておこうか。ここからは僕らの常識に基づいた、学術的な話をしていこう。
広く「竜種」「竜族」として知られる種族は、ヒトの形を模した擬態を行う「可変的な生命体」である。第五の人類種として数えられているが、人類種とはその生命の在り方が根本的に異なる。
竜種の最も顕著な特徴は、その生命基盤を循環器系に依存していることである。
人類種が神経系を基盤としてその生体を構築しているように、竜種は循環器系を基盤としてその生体を構築する。発生の初期段階においても、人類種は神経系を優先的に形成するが、竜種は循環器系を優先的に形成する。特に、心核と呼ばれる器官である。これは人類種やその他の生物において心臓と呼ばれる器官に相応しているが、単なる循環器、ポンプではない。竜種の生体の構造全体を規定する中枢であり、制御中枢である。他生物の骨髄のような役割をも兼任している。
心核、およびそれを中枢とした優れた循環器系を持つことが、竜種の身体的な強靭さに繋がっている。また、竜種の血液細胞は、それ自体が幹細胞である。心核から作り出される細胞は循環器を通して全身に供給され、供給先で任意の細胞へと分化する。
この構造により、竜種の体の中身、すなわち皮下や内臓の組織の生成は個体による差が著しい。特に内臓の構成においては、配置や個数までもが個体により異なる。少ない、あるいは生成されていない器官もあれば、過剰に生成されている器官も存在する。ただし最低限共通する構成として、循環器系を除けば、目や耳などの「感覚器官」、および口腔や消化管などの「消化器官」に相当するものが生成される。その他の臓器や構造は明確に生成されないことも珍しくなく、また、それらの欠落が竜種の生命活動に影響を及ぼすことはない。竜種の生命活動の中心は心核であり、それが健全であるかぎり竜種は生命として健全である。極端な例として竜種は、全身のほとんどを損失したとしても、心核のみで自己復元が可能である。
神経系に依存しない生態を持つため、電気信号による情報伝達に代わり、血液細胞による情報伝達を行う。心核の作用により、竜種は空間を総合的に把握し、周囲の状況に反応する。その上で竜種は、視覚や聴覚、嗅覚などを(それらが生成されている場合)補助的なセンサーとして使用していると考えられている。血液細胞による情報伝達は、電気信号のそれより比較的緩やかな伝達速度しか持たない。しかし、竜種の循環器は人類種のそれを大きく上回る性能を有するため、知覚および反応において、顕著な遅延が観測されることはない。むしろ神経系に依存しないことで、局所的な損傷や断裂が発生した場合も、滞りなく情報伝達が行われる。さらに、その損傷も即座に回復することが可能である。
竜種が家族や社会を形成することは稀である。生命力に優れ、最低限の栄養摂食で造血し、成長あるいは回復することが可能であるためだ。多少の負傷は気に留めることもない。
心核を損傷することによる死のほか、竜種は自らの意思で心核を停止し、死に至ることがある。
また、繁殖することを重視しておらず、竜種同士が番うことも少ないため、その個体数は生命力の割に増え過ぎるということはない。竜種はむしろ人類種のよき隣人であることを望む傾向にあり、生殖の相手としてではなく、単に家族、友人のような関係性としての人類種のパートナーを持つこともある。
竜種の繁殖行為は、彼らの血を体内で物理的に混ぜることによって行われる。混ぜられた血液細胞から心核が発生し、それを覆うように凝血することで、新たな竜種の「卵」が形作られるのだ。竜種同士でなくとも、究極的にはひとりであっても、竜種は単為生殖で子を成すことができる。
単為生殖の場合は、子は基本的に親と同質である。いかなる理由によるものかは不明だが、そうした場合、親は卵を残して自発的に心核を停止する。
人類種をパートナーとした竜種は、ごく稀にではあるが、人類種との繁殖を望むようだ。極めて少ない例ではあるが、竜種がパートナー女性の胎内に卵を構成させた事例がある。また、その例では単為生殖の場合とは異なり、親が自発的に心核を止めることはなかったという。
人類種側が男性であった場合も、竜種同士が番う時のように、竜種の体内で卵を生成したようだ。ただし、この場合は生まれる子が竜種であるとは限らないようだ。竜種の誕生例もあるが、人類種としての性質しか持たないうえ、一部の臓器が完全な形ではない状態での誕生例も報告されている。
竜種の心核は、自身の血液細胞を本人の自在に操り、成形する機能を持つ。これは「血の魔法」と呼ばれ、竜種であれば生まれつきその扱い方を知っているものである。
尾や翼、付属肢のような外部器官を一時的に生成することができる。また、日常的には体の一部位に血液を集めることで、筋力を高めるような使い方をしていると考えられている。
竜種はその血の魔法によって、血液細胞を体外に取り出し整形した、特殊な武器を扱う事がある。これを武器の形態問わず「魂の剣」と呼ぶ。
しかしながら、「血の魔法」の扱いや「魂の剣」を作り出す技術は個体差が大きい。竜種が社会を形成しないことで、そうした能力の扱い方が、竜種の間で伝達されていない可能性が指摘されている。
生命力に優れ、また、力のうえでは人類種の及ばない存在であることから、竜種は多くの国で法律による保護を受けていない。およそ人権と呼べるものを認めていない場合もある。
竜種は潜在的に危険性を内包している。竜種による人類種への傷害は容易であり、被害が大きくなりやすい傾向にある。そのため竜種が人類種へ加害した場合、多くの法律では基本的に竜種に責任を帰属させる。こうした状況から竜種の雇用は極めて少なく、社会において居場所を与えられていない状態である。
このため、竜種は概ね裏社会に身を置く。あるいは、「竜種の自活」を目的として掲げる「竜十字騎士団」のような非営利団体に身を寄せる。そして、彼らの強靭さを活かし、傭兵や護衛職としての雇用を目指すこととなる。
こうした社会的状況、立場にありながら、竜種は人類種を憎むどころか、愛してさえいるように思われる。無論、すべての竜種がそうというわけではない。人類種に強い嫌悪を示し、人里を離れた者も少なくはない。
しかし、竜種は誇り高い反面、どうしようもなく愛情深い。特に人類種を愛し、パートナーとした場合。竜種が人類種を裏切り、傷つけることはない。大抵の場合、心を通わせた人類種の生命が先に尽きることとなるが、それまでの間、竜種はパートナーの側でパートナーのために自身の全存在を尽くす。竜種なりのやり方で愛情を表現し、竜種なりにパートナーを支える。たとえ人類種がそれを裏切ったとしても。それは、死がふたりを別つまで続く関係性となる。
……さて、竜種というのがいかなる存在か、君にも理解してもらえただろうか。
ここからは少し、神秘のベールを捲る話だよ。
まず、そのように異なる生き物が、なぜ僕らの隣人のような顔をして、僕らの側で暮らしているのか。その疑問は当然だ。そして、その疑問には明確な答えがある。
竜種は、そもそもこの星で生まれたものではない。その祖である竜王——王権があったわけではなく、最優の竜(種)としてそう呼んでいるだけだけど。竜王は、いずこの涯からか訪れた「星海の獣」と呼ばれるものだ。
竜王は、僕らを生み出した存在……まあ、いわゆる神様みたいなものだから、神と呼ぶことにしよう。神と交渉して、この星で暮らすことになったんだ。その過程で揉めたんだろう、神は竜王に約定を誓わせた。
——竜種は人類の五番目の種族として、ヒトの似姿を取ること。
これは強い制約的効果を含んだ誓約であり、竜王の裔である竜種は、その誓いを破ることができない。心核がそれをおのずと拒む。心核は竜王の一部であり、竜種はそれを連綿と受け継いでいる、というわけだ。だから、竜種はいつまでも不恰好で中途半端な擬態のままで生きている。爪を剥がれ鱗を削がれ、翼を捥がれ牙を抜かれ、角を折られてヒトのふりをしている。
そうとも、竜王は、君が想像した通りの姿だった。
//どうせあのロクデナシのことだ。竜王のことも、可哀想な大精霊と同じように捕まえて、ヒトの素材にしようと細かく刻んだんだろう。
//ところが竜の生命はヒトのそれとかけ離れすぎていて使えなかった。致し方なく、竜に備わっていた誓約機能で縛り上げた。二度と断片が竜王を構成することがないように。ってオチじゃない?
つまり竜種っていうのは、やっぱりドラゴンなんだよな。一生懸命にヒトに擬態してるけど、その在り方も本質も、人類種とは違っている。
彼らは全て竜王の一部だ。全ての竜種は、心核に竜王の断片を宿している。そして、竜種が子を成せばそれは子に引き継がれる。仮に命を落としたとして、竜王の断片だけは潰えることがない。それらは竜王の自己復元性により、集合し結合する性質を持つ。要は、付近に存在する別の竜種へ「結合」するんだ。本人すら気づかないうちに。
竜種が積極的に番わないのは、竜王に近づくことを心核が本能的に避けるためだ。心核は誓約を破ることから離れようとする。不可抗力による結合とは違う、と判断されるんだろうね。
だから、すべての竜種から心核を集めれば、理論上は竜王が再構築される。それは「竜王」という個人の再生ではなく、現象の再現に近い。
//まあ、僕はそういうルートを見たことがある。だからあれは、どっちかっていうと現象、ていうか災厄、災害だなって思ってるんだ。
//どんな展開でも、竜王は神を憎み(わかるよ)、人類種を嫌悪して滅ぼそうとした。まさに、それは嵐みたいなものだったよ。
これは竜種に元来備わっている機能のひとつだ。彼らは何らかの約束を他人と交わすとき、それを非常に重い誓約として認識する。
この誓約は彼らの心核に影響を及ぼすと考えられている。竜種本人、あるいはその誓約を結ぶ相手が望む、望まざるに関わらず、竜種が誓約を破ることは許されない。心核がおのずとそれを避けようとする。強引にそれを破ることはできるが、まさしく命と引き換えになる。だから竜種は約束を違えない。否、違えることができないのだ。
軽々しく竜の手を取ってはいけない。それは互いにとって致命となりうることだ。
竜王は星海から来た、ってことは。
つまり竜という存在は特異でない可能性があるってことだ。それはまだこの星を訪れていないだけかもしれない。竜王は竜たちの最後の生き残りとして、住み良い場所を探していたのかもしれない。それは僕の観測の範囲外のことだから、どう転ぶかはわからない。
//個人的な希望を述べるなら、どうか竜王には彼らの同朋がいてほしい。
//竜種は全員がそうというわけじゃないけれど、優しく、誇り高く、愛情深く、誠実だ。誓いを守り、ヒトのよき隣人として、不完全な擬態を続けている。
//それが竜王の持っていた、竜としての本来の特性だというなら……どうか、竜王が孤独でないといい。
//ヒトである僕にそんなことを願われる筋合いはないだろうけどね。