エヴァグリーン・イヴリス

Evagreen Ivris

概要

クローバー貿易商会に出入りする、殺し屋の竜種。会長オルティから直接指示を受け、標的を仕留めて報酬を受け取る。商会と正式に雇用契約を結んでいるわけではなく、アルバイト的に業務をこなしている。
ある理由でオルティを殺す為にやって来たはいいが、そのオルティに手八丁口八丁で丸め込まれてしまった。それ依頼、敵でも味方でもない微妙な立ち位置を保ち続けている。

性格、気質

乱暴粗暴、負けず嫌いな直情型。口より先に手が出て脚が出る。頭で理屈を考えることが不得手でもあり、つい感情的になりがち。生来孤独に過ごしたためか、一度仲間と認識した相手には甘い。口先では鬱陶しそうにするが、照れ隠しだということが非常にわかりやすい。

好きなもの、嫌いなもの

ラーメンが大好物。甘いものよりは辛いもの、塩気のものを好み、油気のものも大好き。ラーメンライスとハンバーガーセットをぺろりと平らげる大食漢であり、食べものは質より量派。非常に燃費が悪い。
しかし何故かキノコだけは食べたがらない。嫌な思い出があるらしい。

戦闘

敏捷にして重撃。その拳は風を切り、剣脚は大地を割く。有り体に言えば馬鹿力。本来の力は身に余り、どうしても振り回されてしまう。
また、戦法もかなり無茶苦茶で、駆け寄って潰す、を繰り返すのがほとんど。格闘術などあってないようなもので、なんとなく足技メインに戦っている、というような状態。
そのため、物理的な力では優っているはずなのに、戦闘毎の消耗が激しい、技を主軸にしている相手とは戦いづらい、というような問題を抱えている。

価値観、死生観など

『強者生存』。竜種であればある程度共通して、似たような価値観を持っているが、彼の場合は特に苛烈であり、病的でさえある。脅迫されるように「勝ち続けること」を目指し、弱い己を恥じる。その根底には「誰も自分を認めてくれない」という悲しみや孤独感がある。
強くとも選ばれなかった自分、弱くとも選ばれた者。過去からの残影に囚われ続けている。

生まれ

彼が生まれたのは、とある『艦』の上だった。とはいえ生まれたばかりの彼はそれを知らず、艦に積まれたわずかなパノラマ的な大地を世界のすべてだと信じていた。しかし生まれて1年もしないうちに、彼は艦を降ろされる。その艦は「希少なもの」を集めるための艦だったのだ。黒曜石の殻を持った卵の状態では珍しいものだった彼だが、孵化してしまえばなんのことはない、ただの竜種だった。 そして、ちょうど入れ替わるようなタイミングで艦に収容された 「色違い」、すなわち希少な竜種の存在。それらに後押し、あるいは蹴り落されるような形で、エヴァグリーンは捨てられたのだった。

エヴァグリーンは、廃棄される瞬間にそれが世界ではなかったことを知った。冷たい海の中で、その艦の姿を確かに見た。そして艦は、薄れる意識の中に強い嫌悪と怒りの火種を灯す。

家族、対人関係

・オルティ
標的であり、相棒であり、弱者であり強者であり、生き方を教えてくれた人でもある。結局最期まで付き添った。

・カマロ
いつの間にか恋人になっていた。そして誰よりも大切な人になっていた。そんな事考えるのも照れ臭いが。

・ネイディーン
拾った竜種の子。後々、カマロと共に育てることになったりする。

プロフィール

血 族:竜種
年 齢:23歳
誕生日:不明
身 長:168cm(ブーツ込み174cm)
体 格:痩身、筋肉質、しなやか
口 調:粗暴

「雑魚がウダウダうるっせぇんだよ。黙ってさっぱり死にやがれ。」
「っだーーーーーー! 俺に触るなって言ってんだろこのクソ野郎!!!!! その腕指から輪切りにされてぇのかクソボケがァ!!!!」
「お前やナディが幸せに生きて行けるんなら、俺はそれで充分だぜ、カマロ。」

ストーリー

・殺し屋としてオルティを襲撃するが、逆に捻じ伏せられ取引をすることになった。オルティを殺さない代わりに、ある艦の情報を提供される約束で。

・オルティとの取引関係は艦を潰したことで終了したのだが、オルティを殺すことはせず、相棒でいることを選んだ。

・オルティの死を看取り、彼の最期の頼みのため、とある研究施設へ潜入。そこで竜種の少年・ネイディーンを拾う。

・カマロと共にネイディーンを育てながら、現代最高峰の殺し屋として讃えられるほどのプロフェッショナルに。

・オルティの娘サリアが引き起こした竜種抗争こと『竜宮』事件に巻き込まれる。ネイディーン、カマロ、そして竜種の少年ニヴィアを庇い、重大なダメージを負って殺し屋を廃業した。

カマロ・アルヴァルソン・ルカヤルヴィ

Camaro Alfarsson Rukajärvi

概要

竜種の青年。聴覚が非常に過敏で、音から色や形、情景を感じ取る共感覚を持っている。聴力を抑えるために薬を処方されている程で、足音や心音を感じて、それが誰のものか当てることもできる。小さなライブハウスでギターを弾いている。
エヴァグリーンとは同僚であり、同族でもあるが、性格は似ても似つかない。カマロは温厚で穏やかで、人懐こい笑顔を浮かべていることがほとんどだ。しかし時たまに見せるミステリアスな表情や、拍子抜けするほど冷淡な言葉は、彼が確かに人外のものであると感じさせるに足る。

実態は竜種の中でもほぼ最高位に位置する『魔竜王』、その魂を受け継ぐ者。魔竜王の魂は2つに切り分けられ、永い封印の眠りに就いていたが、ある事件をきっかけに解放される。この時解放された魂の半身、その現身がカマロである。
本人にはその自覚は無く、また、自覚したからといってどうなるものでもない。彼は魔竜王ではなく、あくまでも現身――リンゴ農家の息子で、ギターが上手くて、泣いたり笑ったり人を殺したりするだけの存在なのだから。

性格、気質

何を考えているのかわからない、とは周囲の弁だが、本人は気にしていない。見ようによっては愚昧とも取れるが、単純に裏表のない性格をしているだけで、基本的には無害である。竜種の例に漏れず、彼もまた同様に愛情深い側面を持つ。そして、カマロの場合、その愛情は現在のところ主にエヴァグリーンへ注がれている。

好きなもの、嫌いなもの

リンゴ農家の息子で、好物もリンゴ。リンゴだけで生活できると言い張る。体重もリンゴ3個ぶん。得意料理はアップルパイ。
リンゴを好きになったのは、小さいころに食中毒にあたり、その時に唯一食べられたものだから。そしてそれ以来、肉や魚、特に生モノはあまり食べなくなった。
また、出身地が寒冷地のため、竜種にしては珍しく、寒さに強い。 冬は好きだが、逆に夏は嫌い。日焼けをするとすぐに皮膚が赤くなってしまうので、日焼け止めが手放せなくなる。
耳が良すぎるため、騒音や人の多いところはあまり好まない。苦手だというよりは、頭痛や吐き気を催すため、どうしても近寄りがたい。

戦闘

竜種なりの筋力や力強さはあるが、戦闘事はあまり得意ではない。
ギターを弾いて味方を鼓舞したり、相手の動きを鈍らせることができる。

価値観、死生観など

カマロの価値観や死生観を理解するのは難しい。彼は決して、生を憎んではいない。しかし、死を嫌悪することもない。人を殺すことに躊躇しないが、道端の猫の轢死体を埋めてやることはする。カマロにとって、それらは相反することではなく、ひとつにつながっている。生命の先に死体を見、死体の先に生命を見る。彼には、生も死も同じことのように感じられているのかもしれない。
しかし推しの死には弱い。

生まれ

魔竜王の魂の現身である彼には、親がいたのかいないのかさえ分からない。リンゴ農家の両親はあくまで育ての親であり、里親である。彼は児童保護施設から両親に引き取られ育てられた。両親は人類種であるため、カマロはそのことを物心ついたときから知っていた。両親は愛情を注ぎカマロを育てたので、カマロも彼らのことを愛していた。なお、姉ジュリエッタは両親の実子である。

家族、対人関係

・義両親
関係は良好で、両親はカマロのやりたいことを常に尊重していた。彼が自立しても、両親の彼に対する姿勢はあまり変わっていない。

・ジュリエッタ
愛する姉であり、カマロにとっては初めての恋人、想い人でもある。彼女を守るために、カマロはある事件を引き起こした。

・エヴァグリーン
彼に惹かれる理由はいまいちよくわかっていない。ただ、漠然と傍に居なければならない気がしている。

プロフィール

血 族:竜種
年 齢:21歳
誕生日:5月中旬
身 長:183cm
体 格:細長い
口 調:やわらかく人懐こい

「エヴァでしょ。足音ですぐ分かったよ。」
「俺は別に、そんな大層なこと考えてないよ。大事なことは自分で決めたいって思ってるだけだ。人を殺すとかってことも、人任せにしたくないってだけ。」
「ごめんね、それでも俺は君を生かすよ。君を殺してでも君を生かす。たとえ世界中を、君でさえ敵に回したとしても。」

ストーリー

・ハイスクール生のころ、ジュリエッタと体の関係を持った。酔いつぶれたジュリエッタからカマロを誘ったのだが、カマロにとってそれは願ってもないことだった。

・何度も体を重ね、お互いに愛し合っていたが、あるとき暴漢に襲われたジュリエッタを助けるため、カマロはその暴漢を殴り殺してしまう。

・竜種の犯罪対策が強化される時世であったこともあり、カマロのしたことは正当防衛とはいえ過剰であると判断された。懲役刑を受けることになったカマロはジュリエッタと引き離される結果となった。

・出所後、義両親、姉ともにカマロを暖かく出迎えてくれたが、カマロは姉の胎に宿っていたはずの命が失われていることに気が付く。そのことを悲しみはしたものの、姉を恨むことはなかった。

・その後は地元の軽犯罪グループに所属したり、バンド活動をしたりで何となく過ごしていたとき、エヴァグリーンと出会う。エヴァグリーンにとっては初めての同族の友人であり、カマロ自身の人懐こさもあり、距離は簡単に縮まった。

・エヴァグリーンがカマロの元を去った後は両親の許へ戻り、リンゴ農園の手伝いをして暮らしていた。その後エヴァグリーンが連れて戻って来た、ネイディーンを二人で育てることとなる。

・重傷を負い、死に体だったエヴァグリーンを魔竜王の権能で吸収した。その姿がスノウメルトである。

ノエル・ザ・ハイドラ

Noelle the Hydra

概要

竜種の殺し屋で構成された秘密組織、”猟竜”の存在は、実しやかに囁かれてはいるものの、噂に過ぎない。いくら人身を超えた力を持つ竜種だからといって、否、だからこそ、誰かが従えて殺し屋に仕立て上げるだなんて、荒唐無稽だ、ありえない——。
そうとも、その通り。想像力の欠如した、愚かで愛しい人類種。さっぱりと吹き飛ばした、人だった肉片の上に立ち、ノエルは悪戯っぽく瞳を釣り上げる。”猟竜”いちの殺し屋との呼び声高い、少女とも、少年ともつかない独特の雰囲気を感じさせる竜種。可憐に逞しく、高いヒールのブーツで血溜まりを踏み凛と立つ。

性格、気質

無邪気で愛らしく、冷酷で無慈悲。竜種の考え方は人のそれと異なるとはいえ、ノエルはあまりにも可愛らしく惨たらしい。生殺与奪の全てにおよそ躊躇というものがなく、人を殺した傍で人を生かしもするが、ノエルにとってそこに明確な基準などない。自らの興味の赴くままに選択する。強いて言うなら、ノエルの気分、というアトランダムで制御不能な判断基準に基づいているのだ。しかしながらノエルの行いは、殆どの場合、年相応の少年少女らしい振る舞いといえる。その全てに竜種の無茶苦茶な倫理観や、馬鹿馬鹿しいほどの身体能力が加味されているにすぎない。
竜種らしいといえばらしいのか、気に入った相手には目をかける。誰かを可愛がり側に置くこともあるが、ふと気づけば殺しているかもしれない。そしてそれを悔やむということもない。ノエル・ザ・ハイドラは130%気紛れでできている。

好きなもの、嫌いなもの

派手好きで暴れることが大好きで、大人しくしていることができない。上席の言いつけは守るが、他人に命令されることは嫌いで、意趣返しをするように命のかかった悪戯を敢行する。
他人に命令されること、ひいては他人に定義されることを好まない。自分は自分であり、竜種だとか、オスだとかメスだとか、そんな事はどうでもいいと思っている。それを決め付けられたりすることは不愉快で、まず間違いなく殺意を抱き、そのまま実行する。
食べ物はドーナツをこよなく愛しているが、その由来は不明。きいろいつぶつぶがついてるチョコ味のがすき。

戦闘

大抵の場合、手を抜いている。手を抜き、力を抜き、武装の油圧式パイルバンカーを片手に、派手に血飛沫を散らせて、楽にたくさんたっぷり殺す。ノエルにとって殺しは仕事なのだから、質よりも量を優先する。
実力は相当なものであるため、ノエルが本気を見せることは滅多にない。パイルバンカーを投げ捨てた時は本気のサイン。重い武装を捨て、圧倒的な速度と攻撃力を発揮する。

価値観、死生観など

ノエル本人にとって楽しいこと、面白いことを重要視する。それが社会的な規範や道徳を外れるものであったとしても、ノエルは一切気に留めない。当然のように殺し、当然のように楽しみ、相手や周囲がそれをどう思うか、なんてちっとも関係ない。ノエルは生きる事を全力で楽しんでいる。死ぬ時のことなんか考えたこともない。自分が死ぬとしたら、走りきった先で燃え尽きるように死ぬのだろうから、それで構わないのだ。

生まれ

猟竜の長、ロゥベルの血を分けて造られた人工竜種であり、母親はそもそも無く、試験官から研究室へ生まれてきた。ノエルはそれを特別な事とか、不幸な事とか、そうは思っていない。周りにいる竜種はみんなそうだ、卵の殻の代わりに、ガラスに包まれて生まれてきただけ。それは事実であり、過去であり、今のノエル自身になんの関わりもない事だろう。
ロゥベルには目をかけられていたが、だからといって愛情を注がれたわけではない。ほかの人工竜種と同じように扱われ、同じように戦闘訓練を施され、研究素材として育ってきた。その事にも不満はない。世界は決まりきっていて、単調で、退屈でつまらないものだと知っていたのだ。
だから、ナダレとの出会いがノエルの何かを変えるなんてことはちっともなかった。何もない出会いだった。何もなかったからこそ、それがノエルには嬉しかったのだ。

家族、対人関係

・ナダレ
家畜。家畜なので、充分可愛がって大事にしている。気が向いたら屠殺する予定らしい。

・ロゥベル
血縁上では父親に当たるが、別に何とも思っていない。反抗してみようと思ったことも、敬おうと思ったこともない。

・グリム
妹のような存在(血縁上は実際に妹に当たる)。何のかんのと世話を焼いている。

・リップ
嫌うほどでもないが、鬱陶しいので相手にしていない。

・キャロル
生真面目なキャロルと、無邪気で気まぐれなノエルは全く反りが合わない。互いに距離を置いている節がある。

・アリエル
これといった思い入れがない。てか二刀流ってグリムとキャラ被ってない?

プロフィール

血 族:竜種
年 齢:13歳
誕生日:12月25日
身 長:150cm前後
体 格:やや小柄で、少女らしい
口 調:無邪気

「すごい、命乞いのお手本みたい! 感動しちゃった!」
「へぇ、ボクと戦う気なんだ。いいよ、片手間に相手してあげる。カップ焼きそばとは言わないからさ、カップラーメン程度は持たせてよね。」
「本当にね、嬉しかったんだよ。ナダレさんが来てくれてさあ、嘘みたい、夢みたいって思ったんだ。……それだけで、ボクには充分だ。ありがとう、————………。」

ストーリー

・猟竜の一員として標的を追い詰めた先で、偶然にもナダレに現場を目撃される。ノエルは彼の命乞いをいたく気に入り、家畜と呼び可愛がることにした。

・猟竜の崩壊に伴い、妹のような存在であったグリムを喪う。ノエルは自身の為すべき事を考え、ナダレの前から姿を消した。

・傭兵稼業で身を立てながら、竜種の持つ特別な力が人類種に悪用されないための方策を練っていた。

・猟竜の残党、主に竜種の力を手に入れようとする者たちに捕えられ、実験体にされる。いかにノエルといえ、竜種の力を抑えられてしまえば、戦う力はあれどそこらの少年少女と大差がなく、脱出はことごとく失敗に終わった。

・諦めかけていたところへ、不意にナダレが救援に現れる。敢え無く討ち取られるナダレを愛おしいと思いこそすれ、哀れだとは思わなかった。故に、ノエルは魂を賭けて闘った。

・それは当然の敗北、当然の結末と言えた。しかしノエルは思いのほか、その結果に満足していた。既に息の絶えたナダレの頬を、髪を優しく撫で、ノエルは微笑み、微睡む。——ありがとう、ナダレさん。