エヴァグリーン・イヴリス

Evagreen Ivris

概要

クローバー貿易商会に出入りしている竜種の青年。殺し屋として、商会会長オルティ直々に雇われている。

プロフィール

血 族:竜種
年 齢:20代
誕生日:不明
身 長:168cm(ブーツ込み174cm)
体 格:痩身、筋肉質、しなやか
口 調:粗暴

「……クソ不味いなァ、このコーヒー。」
「ッだが……! 俺は竜って獣だ! ——たとえこの頭だけになっても!! 俺は俺の魂を賭けて、お前を殺してやる……!!」

外見描写

健康的で鮮やかな褐色の肌に、夏草もかくやの鋭さで乗っかった、鬣のように逆立つ深緑の髪。
重たい前髪の下で、黒いはずの瞳がぎらぎらと光る。切長で目尻の位置が高い眼差し、長く先端が尖る耳、唇からわずかに覗く牙はいかにも竜種然としている。
表情は豊かなほうで、笑っていれば年齢よりも一層幼く見える顔立ち。服装も常にラフで、小柄な事も相まって一見すれば不良少年である。
とても身なりが良いとは言えないが、本人の好みに拠ったスタイルを貫く。見た目に殺し屋らしいか、と言われれば全くである。

性質

荒っぽく好戦的で、負けず嫌い。
口より先に手が出て脚が出る。しっかりと殴り飛ばした後で「お前ムカつくんだよ!」と叫ぶタイプ。頭は悪くない、だが考えもしない。それは判断の早さ、瞬発力に思考速度が追いつかないせいでもある。そして、一度考え始めると、どうしたって嫌なことまで思い出す。嫌なことも考えなくてはいけなくなる。エヴァグリーンはそれを嫌うのだ。
意外にも面倒見は良く、兄貴肌。特に、仲間と認識した相手には甘い。他人の面倒を見ることは、エヴァグリーンに自分の存在を真っ当に認識させてくれる。本人にその自覚はないのだろうが。
然り、生来孤独であったが故に、エヴァグリーンは真っ当なコミュニケーションの段階を踏んでこない。「そうしたい」が先に立ち、「どうするか」は後で来る。殴りたいから殴るし、側にいたいから付き添う。ある意味分かりやすい。

戦闘

敏捷にして重撃。その拳は風を切り、剣脚は大地を割く。有り体に言えば馬鹿力。戦法もかなり無茶苦茶で、駆け寄って潰すを繰り返すのがほとんどだ。そして、竜種であるからそれだけで十二分に強い。人類種はおおよそ敵ではなく、エヴァグリーンにとっては「つまらない相手」以外の何者でもない。故にほとんど無自覚に、舐めてかかる。そのせいで手痛い反撃を食ったこともある。
しかし、大味な闘い方は消耗が激しく、また見切ることも容易い。故に搦手を得意とする相手には弱い。そして、同類である竜種を相手にすることもまた難しい。単純に力が互角なら、勝敗を分けるのはその技に他ならないからだ。


ストーリー

・殺し屋としてオルティを襲撃するが、逆に捻じ伏せられ取引をすることになった。オルティを殺さない代わりに、ある艦の情報を提供される約束で。
・当初はオルティの持つ情報だけが目当てであった。それはオルティの側も同じである。エヴァグリーンは自分がただの武力、武装として扱われていることを理解していた。必要とされているなら、別にそれで良かったからだ。
・オルティとの取引関係は艦を潰したことで終了したのだが、オルティを殺すことはせず、相棒でいることを選んだ。それは選ばれるだけのエヴァグリーンが、初めて自分から選んだ居場所だった。

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その竜は、とある『艦』の上で生まれた。
生まれたばかりの幼い竜は、そこが大きな戦艦の上であるとは知る由もなかった。その上に作り上げられたパノラマ的な大地を、世界のすべてだと信じていた。偽物の世界の中で、おだやかな日々が過ぎていく。

ある日、竜は艦を”降ろされる”ことになった。蒐集戦艦イーデン。その名の通り、艦は楽園を模した趣味の悪い箱庭だった。竜はただ、価値がないと見なされたのだ。

廃棄される瞬間に、それが世界ではなかったことを知った。冷たい海の中で、竜はその艦の姿を確かに見た。薄れる意識の中に強い嫌悪と怒りの火種を灯し、艦は何処かへ去って行った。

——エヴァグリーンという名は、「福音の若木」を意味する。
竜種は、自らがどこで生まれたものか、どこから来たものかを表す名を己で名乗る。楽園から捨てられた彼は、自らをやがて楽園へ還る者として、そう定義した。すなわち彼はその時から、蒐集戦艦への復讐を誓ったのである。

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「俺にはお前が必要だ、エヴァグリーン」

そんな言葉で絆されたつもりはなかった。けれど、必要とされることは気分が良かった。
泥水のような、不味いコーヒーを流し込む。誰かを殺してこいという単純な仕事をこなす。それだって人生だ。けれど、生きている気はしなかった。

オルティの執務室は、コーヒーの芳香がした。
何かこだわりがあるのだろうと思ったけれど、オルティはミルクと砂糖を馬鹿みたいに混ぜて飲んでいた。こだわりを持ってコーヒーを淹れていたのは、彼の右腕であるロータスだった。ロータスがその無法に涙を飲んでいると知ったのは、もっと後になってからだ。

仕事だってそうだ。オルティはエヴァグリーンを使い走りにして、あれこれ何でもやらせたがった。そんな毎日は鮮やかで煩くて、鬱陶しいほど眩しかった。
考えるのは得意じゃない。それはいつも、自分がなぜ今も生き続けているのかという疑問に帰結する。竜種は生きる意味を失えば、世界に興味を失くし、いずれは死ぬ。だから、自分が生き続けているのは、きっとこの胸の奥底に、復讐を願う気持ちがあり続けているからだ。そう信じる。そう信じなければ、何のために生きているのか分からなくなる。

——わからない。何のために生きているのか。

必要だと言われた。請われた。それを理由にしても良いのかもしれないと、そう思い始めたエヴァグリーンの前で。オルティはあっさりと、自分の命を手放す決断をした。クソッタレが、ふざけんな、馬鹿じゃねえの。馬鹿だとはずっと思ってたが、ここまでかよ、いい加減にしろよ。そんな言葉は何ひとつ、エヴァグリーンの唇を通らなかった。オルティの腕を強く掴む。そのまま駆け出したエヴァグリーンは、叫ぶようにただ、それだけを言った。

「俺にはお前が必要だ、オルティ!!」

ふたりで事務所に戻った後、オルティは黙ってコーヒーを淹れた。
それはお世辞にも美味いとは言えず、泥水のようなひどい味だった。

けれど、人生でいちばんのコーヒーだったと、エヴァグリーンはそう信じている。