ノエル・ザ・ハイドラ

Noelle the Hydra

概要

竜種の殺し屋で構成された秘密組織、”猟竜”の存在は、実しやかに囁かれてはいるものの、噂に過ぎない。いくら人身を超えた力を持つ竜種だからといって、否、だからこそ、誰かが従えて殺し屋に仕立て上げるだなんて、荒唐無稽だ、ありえない——。
そうとも、その通り。想像力の欠如した、愚かで愛しい人類種。さっぱりと吹き飛ばした、人だった肉片の上に立ち、ノエルは悪戯っぽく瞳を釣り上げる。”猟竜”いちの殺し屋との呼び声高い、少女とも、少年ともつかない独特の雰囲気を感じさせる竜種。可憐に逞しく、高いヒールのブーツで血溜まりを踏み凛と立つ。

性格、気質

無邪気で愛らしく、冷酷で無慈悲。竜種の考え方は人のそれと異なるとはいえ、ノエルはあまりにも可愛らしく惨たらしい。生殺与奪の全てにおよそ躊躇というものがなく、人を殺した傍で人を生かしもするが、ノエルにとってそこに明確な基準などない。自らの興味の赴くままに選択する。強いて言うなら、ノエルの気分、というアトランダムで制御不能な判断基準に基づいているのだ。しかしながらノエルの行いは、殆どの場合、年相応の少年少女らしい振る舞いといえる。その全てに竜種の無茶苦茶な倫理観や、馬鹿馬鹿しいほどの身体能力が加味されているにすぎない。
竜種らしいといえばらしいのか、気に入った相手には目をかける。誰かを可愛がり側に置くこともあるが、ふと気づけば殺しているかもしれない。そしてそれを悔やむということもない。ノエル・ザ・ハイドラは130%気紛れでできている。

好きなもの、嫌いなもの

派手好きで暴れることが大好きで、大人しくしていることができない。上席の言いつけは守るが、他人に命令されることは嫌いで、意趣返しをするように命のかかった悪戯を敢行する。
他人に命令されること、ひいては他人に定義されることを好まない。自分は自分であり、竜種だとか、オスだとかメスだとか、そんな事はどうでもいいと思っている。それを決め付けられたりすることは不愉快で、まず間違いなく殺意を抱き、そのまま実行する。
食べ物はドーナツをこよなく愛しているが、その由来は不明。きいろいつぶつぶがついてるチョコ味のがすき。

戦闘

大抵の場合、手を抜いている。手を抜き、力を抜き、武装の油圧式パイルバンカーを片手に、派手に血飛沫を散らせて、楽にたくさんたっぷり殺す。ノエルにとって殺しは仕事なのだから、質よりも量を優先する。
実力は相当なものであるため、ノエルが本気を見せることは滅多にない。パイルバンカーを投げ捨てた時は本気のサイン。重い武装を捨て、圧倒的な速度と攻撃力を発揮する。

価値観、死生観など

ノエル本人にとって楽しいこと、面白いことを重要視する。それが社会的な規範や道徳を外れるものであったとしても、ノエルは一切気に留めない。当然のように殺し、当然のように楽しみ、相手や周囲がそれをどう思うか、なんてちっとも関係ない。ノエルは生きる事を全力で楽しんでいる。死ぬ時のことなんか考えたこともない。自分が死ぬとしたら、走りきった先で燃え尽きるように死ぬのだろうから、それで構わないのだ。

生まれ

猟竜の長、ロゥベルの血を分けて造られた人工竜種であり、母親はそもそも無く、試験官から研究室へ生まれてきた。ノエルはそれを特別な事とか、不幸な事とか、そうは思っていない。周りにいる竜種はみんなそうだ、卵の殻の代わりに、ガラスに包まれて生まれてきただけ。それは事実であり、過去であり、今のノエル自身になんの関わりもない事だろう。
ロゥベルには目をかけられていたが、だからといって愛情を注がれたわけではない。ほかの人工竜種と同じように扱われ、同じように戦闘訓練を施され、研究素材として育ってきた。その事にも不満はない。世界は決まりきっていて、単調で、退屈でつまらないものだと知っていたのだ。
だから、ナダレとの出会いがノエルの何かを変えるなんてことはちっともなかった。何もない出会いだった。何もなかったからこそ、それがノエルには嬉しかったのだ。

家族、対人関係

・ナダレ
家畜。家畜なので、充分可愛がって大事にしている。気が向いたら屠殺する予定らしい。

・ロゥベル
血縁上では父親に当たるが、別に何とも思っていない。反抗してみようと思ったことも、敬おうと思ったこともない。

・グリム
妹のような存在(血縁上は実際に妹に当たる)。何のかんのと世話を焼いている。

・リップ
嫌うほどでもないが、鬱陶しいので相手にしていない。

・キャロル
生真面目なキャロルと、無邪気で気まぐれなノエルは全く反りが合わない。互いに距離を置いている節がある。

・アリエル
これといった思い入れがない。てか二刀流ってグリムとキャラ被ってない?

プロフィール

血 族:竜種
年 齢:13歳
誕生日:12月25日
身 長:150cm前後
体 格:やや小柄で、少女らしい
口 調:無邪気

「すごい、命乞いのお手本みたい! 感動しちゃった!」
「へぇ、ボクと戦う気なんだ。いいよ、片手間に相手してあげる。カップ焼きそばとは言わないからさ、カップラーメン程度は持たせてよね。」
「本当にね、嬉しかったんだよ。ナダレさんが来てくれてさあ、嘘みたい、夢みたいって思ったんだ。……それだけで、ボクには充分だ。ありがとう、————………。」

ストーリー

・猟竜の一員として標的を追い詰めた先で、偶然にもナダレに現場を目撃される。ノエルは彼の命乞いをいたく気に入り、家畜と呼び可愛がることにした。

・猟竜の崩壊に伴い、妹のような存在であったグリムを喪う。ノエルは自身の為すべき事を考え、ナダレの前から姿を消した。

・傭兵稼業で身を立てながら、竜種の持つ特別な力が人類種に悪用されないための方策を練っていた。

・猟竜の残党、主に竜種の力を手に入れようとする者たちに捕えられ、実験体にされる。いかにノエルといえ、竜種の力を抑えられてしまえば、戦う力はあれどそこらの少年少女と大差がなく、脱出はことごとく失敗に終わった。

・諦めかけていたところへ、不意にナダレが救援に現れる。敢え無く討ち取られるナダレを愛おしいと思いこそすれ、哀れだとは思わなかった。故に、ノエルは魂を賭けて闘った。

・それは当然の敗北、当然の結末と言えた。しかしノエルは思いのほか、その結果に満足していた。既に息の絶えたナダレの頬を、髪を優しく撫で、ノエルは微笑み、微睡む。——ありがとう、ナダレさん。

カマロ・アルヴァルソン・ルカヤルヴィ

Camaro Alfarsson Rukajärvi

概要

竜種の青年。聴覚が非常に過敏で、音から色や形、情景を感じ取る共感覚を持っている。聴力を抑えるために薬を処方されている程で、足音や心音を感じて、それが誰のものか当てることもできる。小さなライブハウスでギターを弾いている。
エヴァグリーンとは同僚であり、同族でもあるが、性格は似ても似つかない。カマロは温厚で穏やかで、人懐こい笑顔を浮かべていることがほとんどだ。しかし時たまに見せるミステリアスな表情や、拍子抜けするほど冷淡な言葉は、彼が確かに人外のものであると感じさせるに足る。

実態は竜種の中でもほぼ最高位に位置する『魔竜王』、その魂を受け継ぐ者。魔竜王の魂は2つに切り分けられ、永い封印の眠りに就いていたが、ある事件をきっかけに解放される。この時解放された魂の半身、その現身がカマロである。
本人にはその自覚は無く、また、自覚したからといってどうなるものでもない。彼は魔竜王ではなく、あくまでも現身――リンゴ農家の息子で、ギターが上手くて、泣いたり笑ったり人を殺したりするだけの存在なのだから。

性格、気質

何を考えているのかわからない、とは周囲の弁だが、本人は気にしていない。見ようによっては愚昧とも取れるが、単純に裏表のない性格をしているだけで、基本的には無害である。竜種の例に漏れず、彼もまた同様に愛情深い側面を持つ。そして、カマロの場合、その愛情は現在のところ主にエヴァグリーンへ注がれている。

好きなもの、嫌いなもの

リンゴ農家の息子で、好物もリンゴ。リンゴだけで生活できると言い張る。体重もリンゴ3個ぶん。得意料理はアップルパイ。
リンゴを好きになったのは、小さいころに食中毒にあたり、その時に唯一食べられたものだから。そしてそれ以来、肉や魚、特に生モノはあまり食べなくなった。
また、出身地が寒冷地のため、竜種にしては珍しく、寒さに強い。 冬は好きだが、逆に夏は嫌い。日焼けをするとすぐに皮膚が赤くなってしまうので、日焼け止めが手放せなくなる。
耳が良すぎるため、騒音や人の多いところはあまり好まない。苦手だというよりは、頭痛や吐き気を催すため、どうしても近寄りがたい。

戦闘

竜種なりの筋力や力強さはあるが、戦闘事はあまり得意ではない。
ギターを弾いて味方を鼓舞したり、相手の動きを鈍らせることができる。

価値観、死生観など

カマロの価値観や死生観を理解するのは難しい。彼は決して、生を憎んではいない。しかし、死を嫌悪することもない。人を殺すことに躊躇しないが、道端の猫の轢死体を埋めてやることはする。カマロにとって、それらは相反することではなく、ひとつにつながっている。生命の先に死体を見、死体の先に生命を見る。彼には、生も死も同じことのように感じられているのかもしれない。
しかし推しの死には弱い。

生まれ

魔竜王の魂の現身である彼には、親がいたのかいないのかさえ分からない。リンゴ農家の両親はあくまで育ての親であり、里親である。彼は児童保護施設から両親に引き取られ育てられた。両親は人類種であるため、カマロはそのことを物心ついたときから知っていた。両親は愛情を注ぎカマロを育てたので、カマロも彼らのことを愛していた。なお、姉ジュリエッタは両親の実子である。

家族、対人関係

・義両親
関係は良好で、両親はカマロのやりたいことを常に尊重していた。彼が自立しても、両親の彼に対する姿勢はあまり変わっていない。

・ジュリエッタ
愛する姉であり、カマロにとっては初めての恋人、想い人でもある。彼女を守るために、カマロはある事件を引き起こした。

・エヴァグリーン
彼に惹かれる理由はいまいちよくわかっていない。ただ、漠然と傍に居なければならない気がしている。

プロフィール

血 族:竜種
年 齢:21歳
誕生日:5月中旬
身 長:183cm
体 格:細長い
口 調:やわらかく人懐こい

「エヴァでしょ。足音ですぐ分かったよ。」
「俺は別に、そんな大層なこと考えてないよ。大事なことは自分で決めたいって思ってるだけだ。人を殺すとかってことも、人任せにしたくないってだけ。」
「ごめんね、それでも俺は君を生かすよ。君を殺してでも君を生かす。たとえ世界中を、君でさえ敵に回したとしても。」

ストーリー

・ハイスクール生のころ、ジュリエッタと体の関係を持った。酔いつぶれたジュリエッタからカマロを誘ったのだが、カマロにとってそれは願ってもないことだった。

・何度も体を重ね、お互いに愛し合っていたが、あるとき暴漢に襲われたジュリエッタを助けるため、カマロはその暴漢を殴り殺してしまう。

・竜種の犯罪対策が強化される時世であったこともあり、カマロのしたことは正当防衛とはいえ過剰であると判断された。懲役刑を受けることになったカマロはジュリエッタと引き離される結果となった。

・出所後、義両親、姉ともにカマロを暖かく出迎えてくれたが、カマロは姉の胎に宿っていたはずの命が失われていることに気が付く。そのことを悲しみはしたものの、姉を恨むことはなかった。

・その後は地元の軽犯罪グループに所属したり、バンド活動をしたりで何となく過ごしていたとき、エヴァグリーンと出会う。エヴァグリーンにとっては初めての同族の友人であり、カマロ自身の人懐こさもあり、距離は簡単に縮まった。

・エヴァグリーンがカマロの元を去った後は両親の許へ戻り、リンゴ農園の手伝いをして暮らしていた。その後エヴァグリーンが連れて戻って来た、ネイディーンを二人で育てることとなる。

・重傷を負い、死に体だったエヴァグリーンを魔竜王の権能で吸収した。その姿がスノウメルトである。

エヴァグリーン・イヴリス

Evagreen Ivris

概要

クローバー貿易商会に出入りする、殺し屋の竜種。会長オルティから直接指示を受け、標的を仕留めて報酬を受け取る。商会と正式に雇用契約を結んでいるわけではなく、アルバイト的に業務をこなしている。
ある理由でオルティを殺す為にやって来たはいいが、そのオルティに手八丁口八丁で丸め込まれてしまった。それ依頼、敵でも味方でもない微妙な立ち位置を保ち続けている。

性格、気質

乱暴粗暴、負けず嫌いな直情型。口より先に手が出て脚が出る。頭で理屈を考えることが不得手でもあり、つい感情的になりがち。生来孤独に過ごしたためか、一度仲間と認識した相手には甘い。口先では鬱陶しそうにするが、照れ隠しだということが非常にわかりやすい。

好きなもの、嫌いなもの

ラーメンが大好物。甘いものよりは辛いもの、塩気のものを好み、油気のものも大好き。ラーメンライスとハンバーガーセットをぺろりと平らげる大食漢であり、食べものは質より量派。非常に燃費が悪い。
しかし何故かキノコだけは食べたがらない。嫌な思い出があるらしい。

戦闘

敏捷にして重撃。その拳は風を切り、剣脚は大地を割く。有り体に言えば馬鹿力。本来の力は身に余り、どうしても振り回されてしまう。
また、戦法もかなり無茶苦茶で、駆け寄って潰す、を繰り返すのがほとんど。格闘術などあってないようなもので、なんとなく足技メインに戦っている、というような状態。
そのため、物理的な力では優っているはずなのに、戦闘毎の消耗が激しい、技を主軸にしている相手とは戦いづらい、というような問題を抱えている。

価値観、死生観など

『強者生存』。竜種であればある程度共通して、似たような価値観を持っているが、彼の場合は特に苛烈であり、病的でさえある。脅迫されるように「勝ち続けること」を目指し、弱い己を恥じる。その根底には「誰も自分を認めてくれない」という悲しみや孤独感がある。
強くとも選ばれなかった自分、弱くとも選ばれた者。過去からの残影に囚われ続けている。

生まれ

彼が生まれたのは、とある『艦』の上だった。とはいえ生まれたばかりの彼はそれを知らず、艦に積まれたわずかなパノラマ的な大地を世界のすべてだと信じていた。しかし生まれて1年もしないうちに、彼は艦を降ろされる。その艦は「希少なもの」を集めるための艦だったのだ。黒曜石の殻を持った卵の状態では珍しいものだった彼だが、孵化してしまえばなんのことはない、ただの竜種だった。 そして、ちょうど入れ替わるようなタイミングで艦に収容された 「色違い」、すなわち希少な竜種の存在。それらに後押し、あるいは蹴り落されるような形で、エヴァグリーンは捨てられたのだった。

エヴァグリーンは、廃棄される瞬間にそれが世界ではなかったことを知った。冷たい海の中で、その艦の姿を確かに見た。そして艦は、薄れる意識の中に強い嫌悪と怒りの火種を灯す。

家族、対人関係

・オルティ
標的であり、相棒であり、弱者であり強者であり、生き方を教えてくれた人でもある。結局最期まで付き添った。

・カマロ
いつの間にか恋人になっていた。そして誰よりも大切な人になっていた。そんな事考えるのも照れ臭いが。

・ネイディーン
拾った竜種の子。後々、カマロと共に育てることになったりする。

プロフィール

血 族:竜種
年 齢:23歳
誕生日:不明
身 長:168cm(ブーツ込み174cm)
体 格:痩身、筋肉質、しなやか
口 調:粗暴

「雑魚がウダウダうるっせぇんだよ。黙ってさっぱり死にやがれ。」
「っだーーーーーー! 俺に触るなって言ってんだろこのクソ野郎!!!!! その腕指から輪切りにされてぇのかクソボケがァ!!!!」
「お前やナディが幸せに生きて行けるんなら、俺はそれで充分だぜ、カマロ。」

ストーリー

・殺し屋としてオルティを襲撃するが、逆に捻じ伏せられ取引をすることになった。オルティを殺さない代わりに、ある艦の情報を提供される約束で。

・オルティとの取引関係は艦を潰したことで終了したのだが、オルティを殺すことはせず、相棒でいることを選んだ。

・オルティの死を看取り、彼の最期の頼みのため、とある研究施設へ潜入。そこで竜種の少年・ネイディーンを拾う。

・カマロと共にネイディーンを育てながら、現代最高峰の殺し屋として讃えられるほどのプロフェッショナルに。

・オルティの娘サリアが引き起こした竜種抗争こと『竜宮』事件に巻き込まれる。ネイディーン、カマロ、そして竜種の少年ニヴィアを庇い、重大なダメージを負って殺し屋を廃業した。

疾風の金峰

JinFeng the Gale

概要

商社トラムンタナの創業以来、社長秘書として務めている竜種の女性。雇用主であるエル=レイからの信頼も厚く、曰く「彼女が居なければ仕事が回らない」。一を聞いて十を知るどころか、百の仕事で答えてくれる有能ぶりであるらしい。

若い頃はヤンチャしてた、と本人談。

こう見えて二児の母であり、とうに子育ても終えて子供たちは独立している。ベテランのママである。

性格、気質

冷静沈着でテキパキとした仕事ぶりだが、性根はお茶目で悪ふざけが好き。しかし、仮にも雇用主であるエル=レイを揶揄っていじることを許されているのは、彼女の仕事ぶりや性格故ではなく、互いに創業以来の戦友であるところが大きいのであろう。

好きなもの、嫌いなもの

カレーが好き。毎週かならず一度は作るらしい。甘口派閥。元を辿れば、今は亡き恋人、子供たちの父親が好きだったものだ。

彼を失う原因になった自動車や峠道には、いまだに良い印象が無い。

戦闘

できなくはないが、もっと適任の竜種が側に控えているので、積極的に戦うことはない。

価値観、死生観など

恋人をあっけなく事故で失ったことから、人は死ぬ時はあっさり、あっけなく死ぬものとして捉えている。生命は一瞬で失われ、最悪な時に底はない。なにせ、彼女は彼と同じ車に、彼の隣に座っていたのだ。彼の血飛沫が彼女の肌を濡らしたときのことを今もはっきりと覚えている。それがどれほど「クソな」体験だったか、語りこそしないけれど。

それでも彼女が生きなければと思ったのは、そのとき彼女の胎に双子の生命が宿っていたからだ。彼女を殺そうとしたのも生命であり、生かしたのもまた、生命である。

だから金峰は、命を尊び言祝ぐ。日々、死に向かいながら生きているものを美しいと感じる。愛おしいと思い、慈しむ。それが自分より遥かに弱く脆い、人類種であればなおのことだ。

生まれ

彼女自身がそれを語ることはない。おそらく、楽しい思い出ではないのだろう。

出身地は東邦である。それは彼女の名前が東邦風であることからも察することができる。

家族、対人関係

・子供たち

双子の子供たちとは、彼らが独立してからも仲が良い。頻繁に連絡を取り合っている。彼らの片方はレイの名を、もう片方は亡き父親の名を貰っている。

・エル=レイ

雇い主であり、大切な存在でもある。戦友と形容するのが最も相応しいと感じている。

プロフィール

血 族:竜種

年 齢:歳上の女に尋ねることじゃないだろう?

誕生日:初霜の降りる頃

身 長:長身、2mを超えている

体 格:すらりとしているが、骨格はがっしり

口 調:飄々として抑揚が強い

「いやあ、旦那様には頭が上がりませんからねぇ」

「レイ、アンタってば可愛いところもあるじゃないの。」

「アタシはアンタたちのママじゃないよ!お尻ぐらいは自分で拭くこったね!」

ストーリー

・夫になるはずの男に事故で先立たれた後、お腹の子供を養うため就活に明け暮れていたが、どの相談所もほぼ門前払いの扱い。

・夜の街をとぼとぼ歩いていたところに声をかけてきたのが若きエル=レイであった。

・当時のエル=レイはまだ会社を興したばかり。

彼女の話を聞いて、自分に賭けてみるつもりはないかと問うた。そして、ジンフェンは心中するつもりで手を取った。

・結果はこの大成功だ。だからジンフェンは本当にエル=レイに感謝しているし、エル=レイもジンフェンに感謝している。

黒金のクムトール

Kumtor the Black-Gold

概要

竜種の職能ギルドこと「竜十字騎士団」に所属する騎士のひとり。現在は派遣の形で、護衛としてエル=レイに雇われ、商社トラムンタナに属する。

若く見えるが、それは竜種故のことであり、年齢的・精神的には既に老境に達している。

性格、気質

無口で、あまり感情的ではなく、無機的な雰囲気を持つ。口調も常に丁寧語で、砕けた喋り方はしない。周囲からの印象として、冷たい、冷静、あるいは生真面目だと取られがちだ。

実際のところ、彼は非常に獰猛で暴力的な気質を持っている。騎士団の竜は、そうした竜の悪性とも言える部分を自らの意思で封じられるように鍛錬する。そのため、滅多なことでは感情を露わにしない。
目と耳を隠しているのもその一環である。余計な情報を遮ることで、彼の精神はより安定を見せる。すなわち、彼の本性が明らかになるとすれば、肉体的または精神的に追い詰められた時だろう。

好きなもの、嫌いなもの

落ち着いた環境、静寂を好む。心を乱されない環境に身を置きたがる。

反対に、(見た目はともかく)精神面は老成しているため、若者が好むようなことはあまり好まない。

生来の凶暴性のため、戦うこと自体は好き。

平穏が続くとつまらないと感じる事もあり、そうした時は鍛錬で誤魔化す。側から見れば、トレーニングが好きなように見えるだろう。

誤魔化しをするとき、クムトールは「いまだ人を襲わず、喰らわない自分」に安堵すると共に、「凶暴な本性を持つ自分」に嫌気がさす。

戦闘

帯刀しているが、剣を鞘から抜くことはほとんどない。騎士然とした佇まいや装備は、竜十字騎士団という彼の所属を表す役に立つため、多少なりとも「弁えた」者であるなら、無策で喧嘩を売ることはしないからだ。

そして、弁えない相手には得物を用いる必要などない。

故、彼の二つ名の由来でもある黒い刀身を持つ剣、その美しい剣筋を見られる機会は多くない。しかし万が一の場合、彼は生来の凶暴性を遺憾なく発揮するだろう。

なお、多くの竜種の得物と同じく、クムトールの黒剣は彼の血を固めたものだ。刀身の黒さは、彼の血が濃く、古い竜種であることを示している。

価値観、死生観など

己の凶暴な部分、竜としての悪性を恥と捉え、慎ましくあろうとする姿は美しい。が、竜十字騎士団の中でも彼ほど真摯に、ストイックに教義を受け止め、騎士たろうとする者は少ない。

竜のそうした獰猛で凶暴な側面は、竜が愛情と慈しみ深い者であることと表裏である。悪性の否定は善性の否定でもあり、己が竜であることを許容しない、自己否定へ繋がるものでもあるからだ。

クムトールは恐れている。自分の内にある竜が、いずれ自分の大切なものを破壊してしまうことを。

生まれ

竜種にしては珍しく、きちんとした生家があり、父母もまた竜の騎士であった。彼らは幼きクムトールの内に竜の悪性を見出し、それが彼と共に育つことを恐れたのだろう。クムトールは幼いころから騎士としての教育を受け、それを愛情として育った。

家族、対人関係

・両親

既に他界しているが、両親が常にクムトールを恐れていたことを、クムトールはしっかりと覚えている。

・エル=レイ

雇用主。彼があるじである以上、大切にするのは当然のことだ。そう自分に言い聞かせているが、クムトールのエル=レイに対する過保護ぶりは(無自覚に)相当なものである。

プロフィール

血 族:竜種(純血統)

年 齢:60歳までは数えた

誕生日:猛暑の夏

身 長:190ちょい

体 格:着痩せ+肉付きしっかり

口 調:無口、必要最低限

「主、お下りを」

「私は主人の剣であり盾です。それ以外のものは必要なく、従って、あなた方とは馴れ合う必要がありません。」(珍しく長文を喋ったと思ったら)

ストーリー

・エル=レイは彼が本来凶暴で危険な男であることを知った上で雇っている。彼は”細心の注意を払えば爆弾は安全な物です”と言えるタイプ。

・クムトールにとってレイは、陽の元へ連れ出してくれた希望であり光である。大切にしたいと思うと同時に、自分のような者がその輝きに触れて良いのかと常に躊躇っている。

・目を離した隙に主人が焼かれたり車に跳ねられたりした。

・レイの病室のベッドで大声で泣き、謝罪を繰り返し、責任はどんな形でも取ると懇願したが、レイからはクムトールには責任がないと言われた。責任も取らせてもらえなかった。

・以後、レイに邪魔だと言われても張り付いていることが多くなり、過保護ぶりにも磨きがかかった。

蛇の海たるグラスバーグ

Glasberg the Serpent Sea

エル=レイの船で船長として雇われている竜。

古い竜種。船が木造だった時代から船と一緒に生きているらしい。
お金ももらえて船触ってて遊んでて良いのでエル=レイには感謝しかない。
船を相棒とかは思ってないので乗り換えには躊躇がない。より巧みで早い船が好きや。

グラスバーグは古い竜だ。なにせ船が木造だったころから生きている。
船を駆るのが彼の楽しみで、波に揺られるのが喜びだった。
海洋冒険家として過ごしてみた時期もあったが、竜という身の上では、大抵何を成しても「まぁ、竜だから」という視線。じきに人々には飽きられた。
やがて努力をするのにも飽き、海で過ごすことも諦めた。
いつかは海でと思いながら、微睡む日が増えていく。
そうして何年もの月日が経ったころ、ひとりの男が訪ねてきた。
船乗りを探していると云う。小さい頃に冒険記を読んだことがあると云う。
まだ、船に乗る気があるかと、問う。
果たしてグラスバーグは再び海へと戻ることができた。
あの時全てを諦めて、永遠の眠りに就くことを選ばなくて本当に良かったと思っている。

スターウェルと社内恋愛中。

「好候!いい子だ、そのまま突っ走れ!」

金兎のスターウェル

Starwel the Moon Rabbit

エル=レイの部下のひとり。会社の出納会計を預かる。
数字に強く、暗記も得意。円周率たくさん言えるタイプ。記憶力もよい。
ハッカーとしてブラック企業で劣悪労働させられていた。
それを引き抜いて今の環境に置いてくれたのがエル=レイ。
なのでレイのことはマジで尊敬している。
夜型なスターウィルに合わせたシフト勤務もさせてくれる。

グラスバーグと社内恋愛している。
パ⚫︎活とか揶揄うと殴られる。すごい真面目に恋しているので。
グラスバーグのことは愛を込めて「だぁ」と呼んでいる。

ゴリゴリのゴアホラー、サスペンスなどを見るのが好き。
でもクモとかヘビとか蟲蟲したものはちょっと怖い。
あっけらかんとした19歳。

「これ、今月のお給料。ちょっと増えたかも。やったね」

双檎のナイナス

Niners the Apples

左がナイナカリフ、右がナイナルニア。
Ninercalif、Ninernia

エル=レイの部下のひとり。ひとり?
部下というか、いつのまにか船に住み着いて勝手に働いてた謎の双子。
仕方がないので雇用した(この世界は竜種を雇用する場合児童を働かせてもよいのである)。
思い思いに掃除したり炊事したり洗濯したりしているが、あまり他人の言うことは聞かないようだ。

周りの大人に遊んでもらうのが好き。かくれんぼとか好き。
誰かの仕事の邪魔をしてエル=レイにケツを引っ叩かれていることがある。

いつも元気一杯に突っ走るナイナカリフと、その後を追っかけて突っ走るナイナルニア。
双子だが、どちらが兄で弟ということはないようだ。

出自にはとある秘密がある。
その話は、今はまだ内緒。

「あそぼ!」「あそぼ!」