メリーラム

Merrylamb

概要

クローバー貿易商会、『雑務』担当。ロータスの業務を手伝ったり、事務所を清掃したりと、のんびり働いている。勿論、商会がただの貿易会社ではないように、メリーラムも、清掃やお茶汲みとは別に本来の仕事を持っている。
それは平たく言えば『拷問』だ。ありとあらゆる道具、器具、あるいは薬品、を用いて、メリーラムは標的を嬲り殺す。とはいえ彼女は取り立てて殺しが好きだとか、断末魔が好きだとか、そういう性癖を抱えているわけではない。単純に、その技術があったからそうしているだけで、本当はマゾ寄りだというのが本人の弁。商会に仇為す者には容赦せず、たっぷりしっぽり情報を絞る。
ちなみに、フリフリの裸エプロン姿は「ご奉仕します」の意味らしい。……断じて雇い主であるオルティの趣味ではない。

性格、気質

口調や眼差しは眠たげだが、話す内容はきっぱりしている。人によっては不愉快に感じるような媚びた女の声色で、じりじりと責める。拷問は趣味ではなく、仕事だとはっきり認識しているため、獲物で遊んだり、不用意に殺したり、逆に延命させたりすることはしない。見かけよりも線引きがしっかりしている。
いつでも事に及べそうな服装だが、その気になることはそうそうない。誘われればする、程度の気持ち。そもそもエプロンの下が貞操帯のため、その気になったところで直ぐに事に及べるわけではない。

好きなもの、嫌いなもの

拷問や殺しに愉しさは感じないが、仕事として割り切っているため、人体の構造や、拷問のやり方等には興味を持つ。スクールには通えなかったが勉強には熱心で、単純な読み書きや計算をロータスから教わっている。
好物は辛いもの。激辛なんとか、みたいなものばかり食べている。

戦闘

動きが機敏なわけでも、耐久力があるわけでもないので、闘うのは不得手。メリーラムの技術はあくまで、甚振ることに特化したもの。

価値観、死生観など

自分はもう死んでいて、商会にいる、商会があることで生かされていると考えている。商会のないところで生きていく気は微塵もない。生きていける気もしない。
性には奔放なほうだが、生来の事情を鑑みれば、奔放というよりは、それがメリーラムにとって当然なのかもしれない。

生まれ

フリーク向けの娼館で生まれ、当然のように娼婦になった。物心ついた頃にはもう頭のおかしい客の相手をしており、初潮より先に妊娠した。
物好きな客と店によって、せっかくだから、と腹が膨れるまでそのままにされる。胎児が大きくなったところで腹を割かれ、メリーラムは自分の子宮と胎盤、そして胎児の心臓を食わされた。それ以来、物を食べても味は感じない。
じきに店は潰れる。路頭に迷い、路地裏で客を引いて金を貰うようになったが、ろくな稼ぎにはならない。おまけに、そこはとあるクランの縄張りであり、知らなかった事といえ、半殺しの目に遭わされてしまう。そうして路地裏で死にかけていたメリーラムを掬い上げたのがオルティであり、クローバー貿易商会だった。

家族、対人関係

・オルティ
命の恩人。恩返しぐらいはしておきたいのだが、別に身体は欲しくないと言われたので、それならばと今の仕事を買って出る。

・ロータス
事務所で一緒に過ごす事が多い。ツッコミが鋭いのでボケ甲斐がある。

・サダルメリク
餌付けしている。

・エリー
商会の数少ない女子メンバー同士なのだが、逆にどう接していいのかわからない。

・エヴァグリーン
童貞くさいのでそんなに好きじゃない。

・アルシァラ
鬱陶しい。誰のおかげでご飯が食べられると思っているのか。

プロフィール

血 族:トヲラス系鹿狼族
年 齢:10代
誕生日:不明
身 長:160cm+ハイヒール
体 格:Jカップ
口 調:眠たげな媚び口調
「あ、もしかして期待してる感じですかぁ。残念ですけどぉ、えっちなことはしないんですよぉ。」
「そういうのいいんで、情報だけちゃっちゃと吐いてもらえますかぁ?」

ストーリー

・商会に救われ、初めは秘書として雇われる予定だった。しかし読み書きが出来ないことを不安に思い、メリーラムから辞退。

・その後、オルティが潔癖気味であること、汚れ仕事を引き受ける者が居ないことを知る。それならばと汚れ役を引き受け、今に至る。

・商会の崩壊後も居残り続けたメンバーのひとり。商会と命運を共にした。

アルシァラ・アル・ヤマニア

Alsheara Al Yamania

概要

クローバー貿易商会で外周り営業を務める、トヲラス人の若者。商会の「商社としての」部分を担い、顧客と連絡を取ったり、仕入れに当たったりするのが仕事である。
仕事には真摯に取り組み、業績も良い。が、同僚に対する態度にはやや問題があり、商会内では若干浮いた立場にある。
トヲラス人の中で特別な地位にある「天狗」であり、その背には滑らかな光沢を持った、炎のような色合いの翼が六臂、備わっている。

性格、気質

他人を見下し、敬わない。嫌な事があると直ぐに顔に出し、不機嫌になる。
自分は優秀だと思っていて、優秀な自分が愛されることは当然で、また疎まれるのも当然だと考える。
たとえ誰かを好きになったり、凄いと思って尊敬するようなことがあったりしても、それを素直に認める事はない。

好きなもの、嫌いなもの

食べ物は甘いものや果物を好むが、摂り過ぎないように心がけている。食べ物の好き嫌いは少なく、おそらく、商会の中で最も健康的な食生活を送っている。デーツや甘い紅茶が好物。

派手で目新しい事が好きだが、下調べや、基礎を整える事を疎かにはしない。泥臭い事は好まないが、嫌ってはいない。しかし、影で努力をしている事を知られたり、それを他人に吹聴する事は嫌いで、恥だと考えている。

戦闘

戦闘は不得手で、戦う事には慣れていない。荒事は周囲に任せる。荒事にならないように事を運ぼうとする。そして、その手腕に長けているがために、アルシァラは商会内で、対外的な立場に立っている。

価値観、死生観など

トヲラス天狗である事を誇りに思うと同時に、重い枷だと感じている。優れた存在であらねばならない自分と、現実の自分のギャップに苦しみ、追いつけない誰かの背中に手を伸ばす。そうしなければ生きていてはいけない、生きていけないとさえ思う。屈辱感、劣等感のようなものに、常に追い立てられている。
アルシァラにとって死は恐怖であり、それを逃れる方法があるなら、容易く何かを犠牲にできる。

生まれ

商家として名高い、ヤマニア家の妾腹の子。当主である彼の父親は、世継となる男児を欲し、妻を何人も娶り(トヲラスでは、妻を複数人娶ることが可能である)子を産ませた。しかし産まれてきたのが女児ばかりであったため、屋敷の使用人であった地潜の娘さえ孕ませた。その子がアルシァラである。
念願の男児ではあったものの、アルシァラの背の翼は姉たちの白く輝くそれとは異なり、赤く燃えていた。トヲラスの古い家では、性別と、翼の美しさは、家長となるに欠かせぬものであった。

悲しみに暮れた当主は隠居し、そのまま生涯を閉じたため、アルシァラは彼の遺した子の中で唯一の男児となった。それを良く思わなかったのが、アルシァラの姉と、その母親たちである。アルシァラよりも姉たちの方が、当主となるに相応しい翼を持っている。ましてや妾腹の子、汚らしい地潜の娘が産んだ子に家督を継がせるわけには行かぬと、彼女たちは結託し、彼ら母子を遠くアルスへ送り出して事実上絶縁としたのだった。

アルシァラら母子を島流しにすれど、殺しはしなかったのは、血を分けた弟への、姉たちからの慈悲だったのかもしれない。
しかしながら、アルスの文化はトヲラスのそれとは余りに異なる。アルスでは、背に翼持つ者は異形であり、忌避の対象であった。それだけではなく、トヲラス人そのものを排斥しようとする者もあった。表立ってアルシァラを攻撃する者こそ少なかったが、陰湿な悪意に曝され続け、アルシァラは自己保護としてのひとつの結論に至る。

——己が疎まれるのは、己の優秀さ故だ。

家族、対人関係

・オルティ
上席。尊敬はしているのだが、素直に態度に出さない。自分よりも優秀な人間の存在は、アルシァラにとっては邪魔でしかない。

・商会のメンバー
特別な感情は無く、個人的な付き合いもない。オルティの取り巻きだろ? 俺の魅力が分からないんだよ、可哀想に。

プロフィール

血 族:鹿狼族
年 齢:28歳
誕生日:晩冬
身 長:177cm
体 格:痩身・小柄
口 調:尊大、偉そう
「まあ、このぐらいは当然だろ。俺ってホラ、よく出来るからさ。」
「逃げよう、俺と逃げよう? あいつらみんなバカなんだよ、だって死んじゃうんだぞ!? 俺と一緒に来てよ……!」

ストーリー

・クローバー貿易商会の一員として、要所要所で登場する。トヲラス的な物の考え方、あるいはトヲラス天狗の有り様を示す立ち位置にある。

・オルティが隠遁した後、クローバー貿易商会は軍部の傀儡となった。このままいては未来の無いことを悟ったアルシァラは、軍部や竜宮に商会を売り渡し足抜けを画策する。

・しかし、時は既に遅かった。竜宮を巡る戦いの渦中、彼は呆気なく落命する。終ぞ届くことのなかった誰かの背が、あるいは、側に居られなかった誰かの横顔が、血溜まりの中に霞んで消えた。

シュワルツ・フォン・ロードクロサイト

Schwarz fon Rhodochrosite

概要

アルス13の自治圏区のうち、最も華やかで、最もおぞましいとの呼び声高い、『偕楽の11区』がある。そこではあらゆる地上の快楽、あるいはあらゆる嫌悪すべきものが公的に認可され、広く愛されている。
11区の法は明確でありただひとつ、『受容と供給』。他者を受け入れ、また、自らを供すること、だけだ。己の悦楽を他人に課してはならず、また、他人の悦楽を排してはならない。遍く人は悦楽の為に生きるのであり、悦楽のために死ぬのである。故に11区はあらゆる快楽が提供される街足りうる。不夜の街足りうる。

11区を治める将軍家は、大鷲の旗印を翻すロードクロサイト家。シュワルツは当代の大鷲、鷲将軍その人であり、現代の楽土の王である。将軍家としての権能を注ぎ込み、彼は11区を守り、愛し、育んでいる。そこに住まう全てを愛し、慈しみ、眠らぬ楽園を作り上げること。それが彼らロードクロサイトの悲願である。

ロードクロサイト家が母体として運営している会社としてパンドラボックスがあり、また、同様に彼らが経営するカジノの名もパンドラボックスである。

性格、気質

性格は明るくあっけらかんとしていて、凡そ恥じらいというものが無いように見える。大真面目な顔で下ネタを語り、他人事であるかのように己の身体を差出せる。常に愉しげに微笑み、あらゆる出来事を楽しんでいる。見るものが見れば馬鹿馬鹿しくも思える姿だが、決して愚かではなく、知的な人物でもある。彼はエロを嗜める知性ある大人の男ではなく、知性を嗜めるエロティックな大人の男なのだ。
快楽ごとに関わらず、シュワルツは好奇心がとにかく強い。新しい物事に目がなく、最新の遊戯だと言われれば喜んで試し、あるいは古物であれ、味わい楽しむ。しかしながら楽しんだ後の批評は鋭く、指摘も的を射たものであるため、ただ蒙昧に楽しんでいるだけというものでもない。そこには一種の責任感が伴う。彼の場合は、11区のどろどろとした安寧と平安を守る事が、その責任を果たすことなのだ。

好きなもの、嫌いなもの

シュワルツは快楽を愛し、醜悪をも愛する。故に特定のものを嫌うという事は少ないが、故に他人の快・不快を他人が断じ論ずる事は良く思わない。何を快と感じ、不快と感じるかは、それを感じる本人の自由であり、他人が定めるものではないと認識している。そしてその法に従う限りの人間は愛するが、従わない者は彼の愛に叛いた者と見做し、手放す。シュワルツは他者を嫌いこそしないが、ただ興味を失くすのだ。
もっと単純な彼の個人的な好みとしては、食事は贅沢な方がよい。この世の贅、或いはこの世を超えた贅を堪能する日々ではあるが、意外なことに好物はクレム・カラメル……要するにごく一般的に云うプリンだったりする。

戦闘

国家に仕官する将軍家の者であるが故に、それなりの武術などは身につけているが、護身術の域を出ない。有事の際に本人が直接戦う、という事は無く、配下の者を頼る。

価値観、死生観など

快楽は生きてこそ堪能できるものであるから、生きる事に主眼を置き、その生命をより快く生きるかに注力している。死んでしまえば元も子もない。
また、殺しや、他人を痛めつける事で快楽を得る手法については、本人同士の間で、その合意が取れているかを重視する。一方的な殺戮や強姦のようなやり方は、彼の法の範疇を超える。あくまで、快楽は受容と供給あってこそ、というスタンスでいる。

生まれ

まだ物心つく前から、シュワルツの父、先代の大鷲は教えていた。お前は己の実の子ではない。妻の不貞で出来た子だ、と。
ロードクロサイトはみな『そう』なのだ。男であれば種がなく、女であれば卵がない。故に、ロードクロサイトが子を成すには、妻の、夫の、不貞が必ず必要だ。それを許容出来ない者は、大鷲の玉座に相応しくない。妻の不貞現場を、晩餐の伴奏にする程度の度量でなければ、楽土の支配者は勤まらぬ。血の繋がりなどという曖昧なもの、そんなものは不要で、無価値なのだ。それを呪いと取るか祝福と取るか。後者と見做すなら、お前は己の子でなくとも、必ずや大鷲の玉座を賜うのだ。
果たして言葉通りであった。シュワルツには子を成す力は無かったが、彼はそれを呪いとはちっとも、思わなかったのだ。

家族、対人関係

・ツキヒメ
愛すべき女で、パートナー。姫と呼び可愛がっている。息子を産んでもらった。

・パンドラの従業員たち
ほぼ全員抱いたか、もしくは抱かれた。

・クローバー貿易商会
業務提携先。いろんな意味で欲しい。オルティとは食事に行く程度の仲である。

・ホワイト
一方的にライバル視されている。シュワルツ本人は一切嫌っておらず、彼女が望めば抱く程度には好きなのだが。

プロフィール

血 族:緋人族
年 齢:40代後半
誕生日:初冬
身 長:186cm
体 格:やや肉付きが良くしっとりとした筋肉がある
口 調:知的、愉しげ

「己の快楽、己の不快。それらを他人に押し付けない。すべて許容する。たったそれだけさ、私の法は。そしてその法に万人が従うのであれば、すなわちそれが平和なのだ。」
「それで、どうだ。私を抱く気になったかね?」
「私はお前のことも、姫のことも、同じぐらい愛しているよ。勿論、他の誰の事も同じぐらいに。お前だけの私でなくてすまないが、それでも私に仕えてくれると言うならば、私は最大の恩寵でお前に報いよう。」

ストーリー

・主軸となるストーリーには大きく絡まない。四ツ葉の同盟相手、あるいはスプラウスのライバルとして、またあるときはカジノ経営者として登場する。
・四ツ葉崩壊後、従業員の一部をパンドラボックスに引き受ける。

ツキヒメ

Tsukihime

概要

カジノ『パンドラボックス』のカードコーナーは常に賑わいを見せているが、時に彼女が訪れる時、その賑わいは殊更に高揚する。ツキヒメ、カードの女王にして、王の細君。名うての勝負師でも彼女には敬意を払い、か弱き者は一目散に勝負を降りる。艶然と笑む彼女の前には、次第にチップの山が築かれる。終ぞ負け知らずの、幸運の女神に愛された者。それがツキヒメだった。

性格、気質

何もかもを見透かしているような微笑みを絶やさないことで、初見では怜悧な印象や、恐ろしい印象を受ける者が多い。しかし彼女自身は非常に甘やかで優しい。一度会話をすれば彼女の蕩けるような囁きの虜にされる。そして、その後の責任は誰も持ってくれはしない。

好きなもの、嫌いなもの

カードゲームは好きだが、それよりも楽しいお喋りや飲み物、そして美しいものや華やかなものを好む。逆に見窄らしいものは嫌う。かつての時代の貴婦人のような優雅で上品な振る舞いを好む。
食べ物であればとりわけチョコレート類をこよなく愛し、どちらかといえばビターな物が好き。蕩かすように味わう。

戦闘

戦うことはからきしで、戦力にはならない。泥臭さとは無縁な彼女は、繊細で嫋やかな、守るべき女そのものだ。

価値観、死生観など

強固な価値観や生命観を持たない彼女は、他人の価値観を肯定して生きている。即ちシュワルツの価値観を肯定し、それに倣っている。彼を愛し慈しみ、彼に愛される以上の自分は不必要で、今ここに、シュワルツの傍に立つ自分だけを肯定する。

生まれ

故に、シュワルツと出会う以前の事は語らない。その情報に彼女は意味を見出せないのだ。噂では、どこかの店で娼妓をしていただとか、かつては歌姫であったのだとか、様々に口々に言われているが、ツキヒメはそれを肯定も否定もせずに、ただ微笑んでいる。

家族、対人関係

・シュワルツ
最愛の男であり、パートナー。自身の存在の理由であり、全てである。彼が望む事を何でもしてやりたいと思うし、これまでも常にそうしてきた。

プロフィール

血 族:鹿狼族
年 齢:30代前半
誕生日:晩冬
身 長:170cm前後、ヒール込み
体 格:Gカップ
口 調:華やかで丁寧

「あらあら、また私の勝ちね。嬉しいわ!」
「私には貴方がいるもの。そして、貴方には私がいるのよ。だからちっとも、寂しくなんてないの。私は貴方を愛しているわ。」

ストーリー

・主軸となるストーリーには大きく絡まない。シュワルツの隣に立ち、彼を愛する者として存在する。

エル=レイ・メルフィーオール

El=Rey Melphior

概要

探究心のある男なら、誰も手をつけていない”未開の地”にこそ焦がれるもの。フロンティアの黄金こそ、男の欲を満足させてくれるものだ。
「トラムンタナ・リゾート」の経営者、エル=レイという男は、まさしく征服者(コンキスタドール)である。世界の海を駆け回り、未来の観光地を見つけるのが、彼の仕事であり生きがいだ。現地に赴き自らの五体で調査を行い、観光資源化する。リゾートを建設し、客を呼び込み、自らの成果を見せつける。
彼を悪魔と呼ぶ者も居る。不躾な訪問者を大量に迎え入れるために、自然を破壊し土地の形を根本から作り変えてしまう。人々の風俗を否定し、より近代的に開かれたものを一方的に押し付ける。それはまさに悪魔の所業だと言う。
一方で、彼を神の如く称える者もある。観光資源化することで、消えゆく一方だった風習や小規模な産業は滅びの道から守られる。観光地化による稼ぎはほとんどが現地の人間に還元され、経済も潤う。それはまさに、神の所業に他ならないと言う。
エル=レイ自身は、自らをそのようなものだとは考えていない。そこに素晴らしい、見るべきものがある。だから見に行く。そして、他人にも見せる。それだけのことだ。

性格、気質

矢鱈に観光地を広げているように見えるが、彼自身の哲学と、少しだけ統計に基づいて厳選した土地だけを利用している。そこに至るまでは意外なほどに慎重に事を運んでいる。
仕事上のギャンブルもする事はあるにはあるが、勝ち筋のない戦い方はしない。負け筋を可能な限り減らしておき、必ず逃げ道を確保している。彼と直接相対したことのない者は、エル=レイを豪胆なホテル王だと思っている者がほとんどだが、実際には慎重かつ計算高い人物である。

好きなもの、嫌いなもの

好きなものは未開の地。それが開かれたリゾート地になった時が一番気持ちいいと思える。好みのタイプも未経験者。自分好みの開発を施すのがたまらないらしい。明るくて楽しい場所が好きで、逆に辛気臭い場所や雰囲気、ケチ臭い人は嫌う。
好きな食べ物はチョコレート。甘いのも苦いのも好き。嫌いな食べ物は生野菜。

戦闘

しない。護衛に任せる。

価値観、死生観など

未開のもの、という不可逆の価値を愛しているが、「それが未開でなくなったなら捨てる」のような割り切った考え方ではない。たとえ開拓が済み、多くの人がそれを踏み躙ろうが、それはエル=レイが愛すると決めたものに違いない。惜しみなく奪い、惜しみなく愛することを辞めはしない。たとえそれが、年月を経て人々に忘れ去られ無視されるようになったとしても、エル=レイにとってはいつまでも”彼の征服地”である。

生まれ

それなりの家でそれなりの教育を受けて育つ。父母は厳しくも、愛情も同様に注いでくれる人だったようだ。
経済を学び経営者になり、地道な成功を重ね、今に至った。純粋に、努力と才能でのし上がった人物である。

家族、対人関係

・シュワルツ
数少ない理解者。エル=レイも定期的にパンドラボックスへ遊びに行く。
シュワルツの母とエル=レイの母は同じメッセンジャー家の出身であり、シュワルツとエル=レイは従兄弟にあたる。親同士はあまり仲良くなかったようだが、本人たちは幼い頃から仲がいい。

プロフィール

血 族:緋人族
年 齢:45歳
誕生日:盛夏
身 長:190cm程度
体 格:しなやかに鍛えられた細身
口 調:厳しい丁寧語
「この辺りにホテルが建っていると、実に丁度いいでしょうね。もちろん、海が見えるように。」
「君の人生に私がいたことを、私は多少自惚れても良いという気がしています。もちろん、私の人生に君がいたことも、最高に素晴らしい出来事でしたから。」
「全く! 何度言ったら理解できるのですか! 私は海賊ではない!! 私が求めるのは法に則った支配だ!!」

ストーリー

・メインストーリーには絡まない。

・異国で現地妻(男)をゲット。身も心もメロメロになるが、連れ帰るのは野暮だな…と考えそのまま遠距離恋愛に。

・環境活動家により抗議の一環として、ガソリンをかけられ火をつけられた挙句、車で跳ねられ海に突き落とされる。左半身の大火傷、左眼の失明、左脚がうまく動かなくなる等の大怪我と後遺症を負うが生還した。

・傷跡を「自身の傲慢に対する罰」あるいは「それでも自分が正しかった証」と捉え、傷跡を消す治療は行わなかった。

・70歳ぐらいまではのうのうと生きる。

幸せに暮らしましたとさ。

疾風の金峰

JinFeng the Gale

概要

商社トラムンタナの創業以来、社長秘書として務めている竜種の女性。雇用主であるエル=レイからの信頼も厚く、曰く「彼女が居なければ仕事が回らない」。一を聞いて十を知るどころか、百の仕事で答えてくれる有能ぶりであるらしい。

若い頃はヤンチャしてた、と本人談。

こう見えて二児の母であり、とうに子育ても終えて子供たちは独立している。ベテランのママである。

性格、気質

冷静沈着でテキパキとした仕事ぶりだが、性根はお茶目で悪ふざけが好き。しかし、仮にも雇用主であるエル=レイを揶揄っていじることを許されているのは、彼女の仕事ぶりや性格故ではなく、互いに創業以来の戦友であるところが大きいのであろう。

好きなもの、嫌いなもの

カレーが好き。毎週かならず一度は作るらしい。甘口派閥。元を辿れば、今は亡き恋人、子供たちの父親が好きだったものだ。

彼を失う原因になった自動車や峠道には、いまだに良い印象が無い。

戦闘

できなくはないが、もっと適任の竜種が側に控えているので、積極的に戦うことはない。

価値観、死生観など

恋人をあっけなく事故で失ったことから、人は死ぬ時はあっさり、あっけなく死ぬものとして捉えている。生命は一瞬で失われ、最悪な時に底はない。なにせ、彼女は彼と同じ車に、彼の隣に座っていたのだ。彼の血飛沫が彼女の肌を濡らしたときのことを今もはっきりと覚えている。それがどれほど「クソな」体験だったか、語りこそしないけれど。

それでも彼女が生きなければと思ったのは、そのとき彼女の胎に双子の生命が宿っていたからだ。彼女を殺そうとしたのも生命であり、生かしたのもまた、生命である。

だから金峰は、命を尊び言祝ぐ。日々、死に向かいながら生きているものを美しいと感じる。愛おしいと思い、慈しむ。それが自分より遥かに弱く脆い、人類種であればなおのことだ。

生まれ

彼女自身がそれを語ることはない。おそらく、楽しい思い出ではないのだろう。

出身地は東邦である。それは彼女の名前が東邦風であることからも察することができる。

家族、対人関係

・子供たち

双子の子供たちとは、彼らが独立してからも仲が良い。頻繁に連絡を取り合っている。彼らの片方はレイの名を、もう片方は亡き父親の名を貰っている。

・エル=レイ

雇い主であり、大切な存在でもある。戦友と形容するのが最も相応しいと感じている。

プロフィール

血 族:竜種

年 齢:歳上の女に尋ねることじゃないだろう?

誕生日:初霜の降りる頃

身 長:長身、2mを超えている

体 格:すらりとしているが、骨格はがっしり

口 調:飄々として抑揚が強い

「いやあ、旦那様には頭が上がりませんからねぇ」

「レイ、アンタってば可愛いところもあるじゃないの。」

「アタシはアンタたちのママじゃないよ!お尻ぐらいは自分で拭くこったね!」

ストーリー

・夫になるはずの男に事故で先立たれた後、お腹の子供を養うため就活に明け暮れていたが、どの相談所もほぼ門前払いの扱い。

・夜の街をとぼとぼ歩いていたところに声をかけてきたのが若きエル=レイであった。

・当時のエル=レイはまだ会社を興したばかり。

彼女の話を聞いて、自分に賭けてみるつもりはないかと問うた。そして、ジンフェンは心中するつもりで手を取った。

・結果はこの大成功だ。だからジンフェンは本当にエル=レイに感謝しているし、エル=レイもジンフェンに感謝している。

蛇の海たるグラスバーグ

Glasberg the Serpent Sea

エル=レイの船で船長として雇われている竜。

古い竜種。船が木造だった時代から船と一緒に生きているらしい。
お金ももらえて船触ってて遊んでて良いのでエル=レイには感謝しかない。
船を相棒とかは思ってないので乗り換えには躊躇がない。より巧みで早い船が好きや。

グラスバーグは古い竜だ。なにせ船が木造だったころから生きている。
船を駆るのが彼の楽しみで、波に揺られるのが喜びだった。
海洋冒険家として過ごしてみた時期もあったが、竜という身の上では、大抵何を成しても「まぁ、竜だから」という視線。じきに人々には飽きられた。
やがて努力をするのにも飽き、海で過ごすことも諦めた。
いつかは海でと思いながら、微睡む日が増えていく。
そうして何年もの月日が経ったころ、ひとりの男が訪ねてきた。
船乗りを探していると云う。小さい頃に冒険記を読んだことがあると云う。
まだ、船に乗る気があるかと、問う。
果たしてグラスバーグは再び海へと戻ることができた。
あの時全てを諦めて、永遠の眠りに就くことを選ばなくて本当に良かったと思っている。

スターウェルと社内恋愛中。

「好候!いい子だ、そのまま突っ走れ!」

金兎のスターウェル

Starwel the Moon Rabbit

エル=レイの部下のひとり。会社の出納会計を預かる。
数字に強く、暗記も得意。円周率たくさん言えるタイプ。記憶力もよい。
ハッカーとしてブラック企業で劣悪労働させられていた。
それを引き抜いて今の環境に置いてくれたのがエル=レイ。
なのでレイのことはマジで尊敬している。
夜型なスターウィルに合わせたシフト勤務もさせてくれる。

グラスバーグと社内恋愛している。
パ⚫︎活とか揶揄うと殴られる。すごい真面目に恋しているので。
グラスバーグのことは愛を込めて「だぁ」と呼んでいる。

ゴリゴリのゴアホラー、サスペンスなどを見るのが好き。
でもクモとかヘビとか蟲蟲したものはちょっと怖い。
あっけらかんとした19歳。

「これ、今月のお給料。ちょっと増えたかも。やったね」

双檎のナイナス

Niners the Apples

左がナイナカリフ、右がナイナルニア。
Ninercalif、Ninernia

エル=レイの部下のひとり。ひとり?
部下というか、いつのまにか船に住み着いて勝手に働いてた謎の双子。
仕方がないので雇用した(この世界は竜種を雇用する場合児童を働かせてもよいのである)。
思い思いに掃除したり炊事したり洗濯したりしているが、あまり他人の言うことは聞かないようだ。

周りの大人に遊んでもらうのが好き。かくれんぼとか好き。
誰かの仕事の邪魔をしてエル=レイにケツを引っ叩かれていることがある。

いつも元気一杯に突っ走るナイナカリフと、その後を追っかけて突っ走るナイナルニア。
双子だが、どちらが兄で弟ということはないようだ。

出自にはとある秘密がある。
その話は、今はまだ内緒。

「あそぼ!」「あそぼ!」