Alsheara Al Yamania


概要
クローバー貿易商会の外商、すなわち外周り営業を務める、トヲラス人の若者。商会の「商社としての」部分を担い、顧客と連絡を取ったり、仕入れに当たったりするのが仕事。また、トヲラス人の中で特別な地位にある「天狗」である。
プロフィール
血 族:トヲラス系鹿狼族
年 齢:28歳
誕生日:晩冬
身 長:177cm
体 格:痩身・小柄
口 調:尊大、偉そう
「まあ、このぐらいは当然だろ。俺ってホラ、よく出来るからさ。」
「どいつもこいつもオルティさんオルティさんって。馬ッ鹿じゃねぇの? お前らって自我とかないわけ?」
外見描写
黒に近い暗褐色の肌に、灰色がかった白髪がしっとりとかかる。髪は柔らかな癖がついていて、よく手入れされて艶めいている。自信たっぷりに釣り上がったアーモンド型の目、長くしっかりとした睫毛。青い宝石のような瞳は鋭く眩しい。白いダブルのスーツを纏い、いつも胸を張っている。
トヲラス天狗である彼の背中には、燃えるような緋色の翼が、堂々たる三対六枚開いている。その翼は畳んで仕舞うこともできるものだが、アルシァラは好んでそうしている。
性質
他人を見下し、敬わない。嫌な事があると直ぐに顔に出し、不機嫌になる。同僚に対する態度に問題があると、上席であるオルティやロータスから何度も指摘を受けているが、改めようとしない。態度はともかく仕事ぶりは素晴らしく、アルシァラの業績は社内でも一、二を争うほどに高い。
自分は優秀だと思っていて、優秀な自分が愛されることは当然で、また疎まれるのも当然だと考える。
たとえ誰かを好きになったり、凄いと思って尊敬するようなことがあったりしても、それを素直に認める事はない。
甘いものや果物を好み、甘い紅茶やデーツが好物。しかし摂り過ぎないように心がけている。商会の中で最も健康的な生活を送っているのはアルシァラであろう。
派手で目新しい事が好きだが、下調べや、基礎を整える事を疎かにはしない。芯のしっかりした努力家で、泥臭い事は好まないが、嫌ってはいない。アルシァラは、影で努力をしている事を知られること、それを他人に吹聴することを嫌うのである。
戦闘
戦闘は不得手で、戦う事には慣れていない。荒事は周囲に任せる。荒事にならないように事を運ぼうとする。そして、その手腕に長けているがために、アルシァラは商会内で、対外的な立場に立っている。
ストーリー
・クローバー貿易商会の一員として登場する。トヲラス的な物の考え方、あるいはトヲラス天狗の有り様を示す立ち位置にある。
Read More – ただそう産まれたから
アルシァラは、トヲラスにおいて名家と名高いヤマニア家の子息である。その彼がアルスという異国で、かつ裏社会に関わりながら暮らしていることには、彼の語りたがらない深い事情がある。
ヤマニア家の当主である彼の父親は、世継となる男児を欲し、妻を何人も娶り(トヲラスでは、妻を複数人娶ることが可能である)子を産ませた。しかし産まれてきたのが女児ばかりであったため、屋敷の使用人であった地潜の娘さえ孕ませた。その子がアルシァラである。 念願の男児ではあったものの、アルシァラの背の翼は姉たちの白く輝くそれとは異なり、赤く燃えていた。トヲラスの古い家では、性別と、翼の美しさは、家長となるに欠かせぬものであった。
悲しみに暮れた当主は隠居し、そのまま生涯を閉じたため、アルシァラは彼の遺した子の中で唯一の男児となった。それを良く思わなかったのが、アルシァラの姉と、その母親たちである。アルシァラよりも姉たちの方が、当主となるに相応しい翼を持っている。ましてや妾腹の子、汚らしい地潜の娘が産んだ子に家督を継がせるわけには行かぬ。
彼女たちは結託し、アルシァラと母を遠くアルスへ送り出し、事実上絶縁としたのだった。
母子を島流しにすれど、殺しはしなかったのは、血を分けた弟への、姉たちからの慈悲だったのかもしれない。 しかしながら、アルスの文化はトヲラスのそれとはあまりに異なる。アルスでは、背に翼持つ者は異形であり、忌避の対象であった。それだけではなく、トヲラス人そのものを排斥しようとする者もあった。
陰湿な悪意に曝され続け、アルシァラは自己保護としてのひとつの結論に至る。
己が疎まれるのは、己の優秀さ故だ。
Read More – 遠く碧い空
真っ当な働き口など、見つかろうはずもない。
トヲラス人とひと目でわかるアルシァラの容姿は、この国では重い枷となった。アルシァラの成人をきっかけにして、故国からの仕送りは絶えた。老境に差し掛かった母に無理はさせられない。アルシァラは死に物狂いで努力した。低賃金で食い繋ぎながらいくつもの資格を取り、翼を隠して就職活動に明け暮れた。そして、その度に失望した。いつだって、トヲラス人というだけで断られた。
アルシァラの試みはうまくいかなかった。優秀であることと、結果を掴み取れることに因果関係はない。それを思い知らされただけだ。結局、母親が出入りしていたトヲラス人コミュニティから、彼はクローバー貿易商会と繋がった。そして、会長であるオルティに見出されたのだった。決死の努力など、何ひとつ関係なく。
彼の碧い瞳は、アルシァラの何も値踏みしなかった。ありのままを評価した。それをアルシァラは、屈辱だと感じずにはいられなかった。
トヲラス天狗である以上、優れた存在であらねばならない。地潜より、人狼どもより、誰よりも。環境が、世界がそれを許さなかったとしても、その在り方が折れることだけは許されない。そうして我を通すアルシァラは、何度も失敗をした。その度に彼を助けたのは、見下して見下ろしてきた地潜、翼を持たないトヲラス人たちだ。
飛べもしない、重く引き摺るだけの翼が、何の価値を保証するというのか。こんなもの、何の役にも立ちはしない。
羨ましい。こんなものに縛られていないお前が。腹立たしい。お前に追いつけない全てが。馬鹿馬鹿しい。この感情を捨てられない心が。未だ故郷の空に囚われている自分自身が!
屈辱感と劣等感に追い立てられながら、それでもアルシァラは彼の背を追う。自分より優秀な誰かの存在など、邪魔なだけだ。俺は取り巻きどもとは違う。お前をいずれ倒す。いずれ追い抜く。
——その碧い瞳に誰よりも、鮮烈に翔んでみせる。