Kumtor the Black-Gold
概要
竜種の職能ギルドこと「竜十字騎士団」に所属する騎士のひとり。現在は派遣の形で、護衛としてエル=レイに雇われ、商社トラムンタナに属する。
若く見えるが、それは竜種故のことであり、年齢的・精神的には既に老境に達している。
性格、気質
無口で、あまり感情的ではなく、無機的な雰囲気を持つ。口調も常に丁寧語で、砕けた喋り方はしない。周囲からの印象として、冷たい、冷静、あるいは生真面目だと取られがちだ。
実際のところ、彼は非常に獰猛で暴力的な気質を持っている。騎士団の竜は、そうした竜の悪性とも言える部分を自らの意思で封じられるように鍛錬する。そのため、滅多なことでは感情を露わにしない。
目と耳を隠しているのもその一環である。余計な情報を遮ることで、彼の精神はより安定を見せる。すなわち、彼の本性が明らかになるとすれば、肉体的または精神的に追い詰められた時だろう。
好きなもの、嫌いなもの
落ち着いた環境、静寂を好む。心を乱されない環境に身を置きたがる。
反対に、(見た目はともかく)精神面は老成しているため、若者が好むようなことはあまり好まない。
生来の凶暴性のため、戦うこと自体は好き。
平穏が続くとつまらないと感じる事もあり、そうした時は鍛錬で誤魔化す。側から見れば、トレーニングが好きなように見えるだろう。
誤魔化しをするとき、クムトールは「いまだ人を襲わず、喰らわない自分」に安堵すると共に、「凶暴な本性を持つ自分」に嫌気がさす。
戦闘
帯刀しているが、剣を鞘から抜くことはほとんどない。騎士然とした佇まいや装備は、竜十字騎士団という彼の所属を表す役に立つため、多少なりとも「弁えた」者であるなら、無策で喧嘩を売ることはしないからだ。
そして、弁えない相手には得物を用いる必要などない。
故、彼の二つ名の由来でもある黒い刀身を持つ剣、その美しい剣筋を見られる機会は多くない。しかし万が一の場合、彼は生来の凶暴性を遺憾なく発揮するだろう。
なお、多くの竜種の得物と同じく、クムトールの黒剣は彼の血を固めたものだ。刀身の黒さは、彼の血が濃く、古い竜種であることを示している。
価値観、死生観など
己の凶暴な部分、竜としての悪性を恥と捉え、慎ましくあろうとする姿は美しい。が、竜十字騎士団の中でも彼ほど真摯に、ストイックに教義を受け止め、騎士たろうとする者は少ない。
竜のそうした獰猛で凶暴な側面は、竜が愛情と慈しみ深い者であることと表裏である。悪性の否定は善性の否定でもあり、己が竜であることを許容しない、自己否定へ繋がるものでもあるからだ。
クムトールは恐れている。自分の内にある竜が、いずれ自分の大切なものを破壊してしまうことを。
生まれ
竜種にしては珍しく、きちんとした生家があり、父母もまた竜の騎士であった。彼らは幼きクムトールの内に竜の悪性を見出し、それが彼と共に育つことを恐れたのだろう。クムトールは幼いころから騎士としての教育を受け、それを愛情として育った。
家族、対人関係
・両親
既に他界しているが、両親が常にクムトールを恐れていたことを、クムトールはしっかりと覚えている。
・エル=レイ
雇用主。彼があるじである以上、大切にするのは当然のことだ。そう自分に言い聞かせているが、クムトールのエル=レイに対する過保護ぶりは(無自覚に)相当なものである。
プロフィール
血 族:竜種(純血統)
年 齢:60歳までは数えた
誕生日:猛暑の夏
身 長:190ちょい
体 格:着痩せ+肉付きしっかり
口 調:無口、必要最低限
「主、お下りを」
「私は主人の剣であり盾です。それ以外のものは必要なく、従って、あなた方とは馴れ合う必要がありません。」(珍しく長文を喋ったと思ったら)
ストーリー
・エル=レイは彼が本来凶暴で危険な男であることを知った上で雇っている。彼は”細心の注意を払えば爆弾は安全な物です”と言えるタイプ。
・クムトールにとってレイは、陽の元へ連れ出してくれた希望であり光である。大切にしたいと思うと同時に、自分のような者がその輝きに触れて良いのかと常に躊躇っている。
・目を離した隙に主人が焼かれたり車に跳ねられたりした。
・レイの病室のベッドで大声で泣き、謝罪を繰り返し、責任はどんな形でも取ると懇願したが、レイからはクムトールには責任がないと言われた。責任も取らせてもらえなかった。
・以後、レイに邪魔だと言われても張り付いていることが多くなり、過保護ぶりにも磨きがかかった。