マゴイチ

Magoichi

概要

オニの住まう里・オヅノの中でも最も古きオニと言われる者。オニについて誰よりも詳しく、里のオニたちに医療を提供している仙術医でもある。
本性は妖狐であり、ごくまれに狐の姿を取ることがあるが、普段は人に化けて過ごしている。
数百年前のこと、オニを脅威とみなした人類種は、オニを駆逐するための戦いをはじめた。もとより少数であったオニはその戦いで大きく数を減らし、生き残った者も惨い責め苦に遭わされた。当時まだ幼く、力の弱いオニであった孫市もまた、首に縄を括られ、木に吊るされた。全身を刻まれ弱った孫市を助けようと、仲間のオニが近寄れば(オニは情に厚く、特に妖狐の一族は仲間を見捨てることをしない)、人類種はそれを容易く刈り取った。——己の命をエサに狩られる同胞。ただ眺めることしかできない彼の両眼は、やがて涙すら枯れ果て、渇き濁っていった。
胸に積もった怨念を糧に、孫市は密かに力を蓄えた。そして今なお伝説に残る大妖狐として君臨することとなったのだ。

性格、気質

温厚で優しいが、捉えどころがなく、ある一線以上には他人を踏み入らせない、冷涼な雰囲気がある。里の若いオニたちも、孫市がかつて人類を震え上がらせた大妖であることを周知しており、必要以上に踏み込むことはしない。オニは長く生きるものであるから、互いの過去や来歴を詮索することはしないのだ。
そういった面に触れさえしなければ、孫市は里の優しいおじいちゃん的存在であり、やわらかい目で同胞たちを見守っていてくれる。

好きなもの、嫌いなもの

酒を好み、食事を酒だけで済ませることも多々ある。人類種の文化で唯一の良いものは酒。こればかりは認めざるを得ない。しょうもない怪談を語るのも好きだが、これはどちらかといえば酒の肴に、若いオニを揶揄うために話しているようにも見える。
嫌いなものは、言うまでもなく人類。

戦闘

若い頃、オニを率いる大妖として人類と戦い、隠れ里(オヅノの里)を人類から勝ち取るに至っている。本人が語ろうとせず、人類種の文献に残る程度だが、その戦いぶりは妖異というより、獣のそれに近しかったと言われている。
現在は一線を退いた老骨のそぶりを見せているが、長く生きたものほど力を蓄えるのがオニである。今ひとたび人類種が領域を侵せば、孫市もその本性をあらわすだろう。

価値観、死生観など

オニは庇護すべき同胞であり、人類種は駆逐すべき不倶戴天の敵である。人類種と争っていた時間よりも里で隠居している時間のほうが長くなった現在でさえ、その怨念は衰えを知らず、孫市の中に蓄積されている。
だからといって、人類種への報復をするつもりはない。たとえ孫市が己の一存で復讐を始めたとしても、人類種は全てのオニへ向けて攻撃するだろう。そうなれば、弱く幼いオニたちから犠牲になるに決まっている。孫市は、かつて生きていた同胞の恨みを晴らすために、今を生きているオニたちを犠牲にすることを良しとできなかった。
残酷な光景も人類の悪意も全て、老いた自身の腹に抱えていれば良い。——孫市にとって最も望ましいことは、自身がこのまま静かに、里の片隅で朽ち果てることなのだ。

生まれ

遥か遠くの記憶だが、孫市にも両親がおり、兄弟たちがあったはずだった。彼の親は近隣の里山で祀られる狐であったが、オニを脅威と見做した人々がオニを狩り始めたころ、親兄弟も他のオニたちと同様に殺されたものと記憶している。

家族、対人関係

・里のオニたち
分け隔てなく、等しく慈しんでいる。

プロフィール

血 族:鬼種(妖狐)
年 齢:不詳
誕生日:不詳
身 長:170cm程度
体 格:細く痩せている
口 調:古めかしい
「吾(あ)は旧き鬼といえ、汝(みまし)らと何ら変はりはせぬ。何卒、仲良うしておくれ。」
「不思議な話よなぁ……。さて、この話はこれで終いじゃ。今日は疾く休め。」

カルラ

Karura

北上をぶらついてるおじさん。一帯の地主らしい。地主というだけで働きもせず生きていけるはずないのだが、誰も疑問に思わないようだ。

番傘を片手に川辺で釣り糸を垂らしているのをよく見かける。飄々として掴みどころがないが、何故か何でも話せてしまうと感じる。子供には特に優しく、土地の子供にも懐かれている。

非常に印象的な見た目をしているはずなのだが、北上を離れるとその存在さえ思い出せなくなる。たとえその土地で育ち、幼いころからカルラと親しくしていたとしても。しかし北上に戻ればすぐに思い出すことができ、記憶の違和感も起こらない。

突っ込んだことを聞こうとすると躱される。それでも食い下がると、真剣な面持ちで「どうしてもと言うなら、教えてやってもいい」と言われ、大抵の人間はそれ以上彼に何も聞かない。その先を聞けば、家に帰れなくなる気がするのだ。

北上センターの社で祀られているべき存在の実態。

天よりこぼれた最初のものであり、天鼓、天狐、天狗である。
流星、いかづちの如きもの、天の白き獣。暁の星より来たりし炎。
呑む者。永若の賢者。サナトクマラ・カルラ。かつては北上護法魔王尊と呼ばれたものである。

地に堕ちた彼は地上のあらゆる生命と縁を結び、己の眷属を増やすことを良しとした。
それらが鬼である。地上で生きるすべての鬼は彼の子供たちである。
すなわち、カルラは鬼の祖ともいうべき存在である。

彼は繁殖のため、自分の気に入った相手を連れ去る。
相手を孕ませただけで地上に返すこともあれば、長く側に置くこともある。
彼は自分の性質に合った姿として男性の姿を取っているが、女性になることも可能である。
そうして自らが相手の子を孕み、出産をした経験もあるようだ。

「おまえがここを出たいと言うなら、俺は引き留めぬ。いつでも戻ってくるが良い。いつでも俺はここに在る。」

オヅノ・キタカミ関係者

ハナスイセン フユナギ タニザクラ ライフク キザクラ イヨ サミドリ

「お酒ぇ、お酒はいかがですかあ?」

ハナスイセン

オニたちの隠れ里として、人界から遠ざかっているオヅノだが、人界との交流がないわけではない。花水仙も、そうした「外」との交流を持つオニのひとりだ。花水仙は、人里へ降りては酒を売り歩くことを生業としている。酒の名前は「物怪(モノノケ)」。口当たりは軽く、花のような甘い香りとキレのある後味が売り。

…とはいえ、「物怪」は米や芋を醸したものではない。オヅノの湧水に花水仙の体液を合わせて発酵させたものである。花水仙の本性は「酒虫」と呼ばれるもので、その体液は水を酒に変える性質を持つ。本来のオニの姿である間、花水仙は滑りのあるゼリー状の体をしており、常に粘液を分泌している。この粘液はほのかに甘く、ヒトやオニを酔わせる。

花水仙は、花家分家の娘であり、花宗とは許嫁の間柄である。しかし、互いに気がなく、互いに困っている状態。

「旦那さま、バカどもが来ています」

フユナギ

雪家当主・山鶴に仕える使用人頭。なんでもできすぎる主人のせいで仕事がない。その本性はハクタクだかクダンだかという魔性である。しかし本人は予言もしなければ、瑞祥をもたらしたこともない。せいぜい、主人が山の勤めに出ている際に家を守る程度である。

「へえ。姐様の仰せの通りに致しやす」

タニザクラ

雪家の奉公人。スーパー上司とスーパーご主人のせいでまじでやることがなく、ヒマ。その本性は野衾(のぶすま)である。

「今どきの鬼はサ、変身とかしないんだワ」

ライフク

月家分家。本性は鬼。里にインターネットが引かれているのは来福が使いたいから。基本的に炬燵に住んでいる。「物怪」のネット販売なども担当。

「恨めしいのは現花家だ。儂は未だ、連中の仕打ちを許せん。」

キザクラ

旧花家の末裔たる水妖の長。その本性は河童(かわらわ)、獺の妖異である。古き水神の眷属ながら、現在は雪家の下働きの身の上。旧花家は人との戦の中で潰えかけたため、現在の花家が取って代わったのである。これを現花家の陰謀として恨んだ旧花家は、現花家に叛乱を起こすも、里の中で問題を起こしたとして月、雪家により鎮圧された。この事件により旧花家は完全に取り潰され、配下の数名は雪家へ属する事となった(本来であれば追放処分となるところを、ヤマツルが慈悲をかけた形)。キザクラは、叛乱を起こした旧花家当主の孫にあたる ヤマツルのもとで里の防衛に当たっているが、里や花家には良い印象がないらしい。

本来の月、雪、花家は、鬼(純然の鬼)、天狗(山神系)、河童(水神系)の三妖の家系であることが窺える。月家分家の娘であるサワヒメは旧花家の血が入っている水妖で、花家分家も旧花家と同じく水妖系の家系である。花家は現在、死霊系の家系となっている。

「でも、それは彼女の思い出でしょう? 私じゃない。」

イヨ

漢字で書くと壱夜。鬼の娘。方相氏の血筋であり、他の鬼に対する抑止力としての側面も持つらしい。
カルラに育てられている。養父として尊敬してはいるが、ちょっと鬱陶しいな洗濯物いっしょにしないでほしいなみたいな気持ちもあるお年頃の娘。すぐ手が出る。

かつて”男と共に過ごした鬼”と同じ存在ではあるが同じ生命ではない。本人の記憶には残っているようないないような。あったかい時間があったなと言う感じ。
その男、サミドリと似てる気がするんだよな。

「ええ、こちら”抹茶らて”にて。お湯で溶くだけにございますれば。」

サミドリ

漢字で書くと早緑。付喪神。本体は精神体で、人形に入ることで身体を得ている。人形は複数あるが、どれも古びて壊れかけてしまっている。
北上センター内の社を預かり、神主のような仕事をしている。
趣味はお茶。抹茶ラテもお紅茶もいいですね…みたいなアイデンティティギリギリのことをやっている。
傑作の印が入っている人形ボディには、特殊な機能があるとかないとか…。