Ortie Claviad
概要
アルスの裏社会を統治するクランのひとつ、『クローバー貿易商会』の二代目会長。
情報屋として非常に顔が広く、また、その精度も高い。彼の持つ情報はクローバー商会の商材で最も高値がつくもののひとつであり、重要な収入源であるため、オルティは時間の許す限り、それらの収集と整理に当たっている。
笑顔を崩さず、余裕の態度で膨大な情報を捌く様子がまるで手品のようである、と、付いた渾名が『奇術師』あるいは『魔術師』。もしくはクランの名を取って『四ツ葉(の王様)』と呼ばれている。
性格、気質
性格は至って温厚で平和的に見える。常に和やかに笑っているが、眼光は鋭く、冷たささえ感じさせる。他人を心から信じる事がなく、温厚な態度は無駄な諍いを避ける為でしかない。残酷で無慈悲な一面もあり、特に、敵対者と自分には非常に厳しい。心から笑ったり、泣いたり、そういったことは滅多にない。
『色違い』であり、その色の珍しさを好む者には特に敵愾心を抱く。これは幼少期から、見た目ばかりを褒められ、何を努力しても、その努力や本人の才覚よりも、色違いであることを評価されてきたからである。逆に言えば、そういった扱いをしない人の事は大好きだが、アルスでは色違いの価値が高騰しつつあるため、そのような人物はなかなかいない。特に、付き合ってきた女性が皆、オルティをアクセサリーのように扱ってきたことがトラウマになっている。
故に芯の部分では根暗。好きだと言われても、どうせ色違いだからだろう、と穿ってくる程度には根暗で、面倒臭い性格。そして、自分のそういった面を嫌悪しているため、明るく振舞って無理をするのが常。
好きなもの、嫌いなもの
ファッションに気を配り、かっこいい男でいることを心がけている。ショッピングも好きで、甘党。揶揄うように『四ツ葉の雄姫様』呼ばわりされるのは、満更でもない。
やや潔癖症気味で、血とか死体とかはあまり触りたくないが、嫌いなだけで殺らないわけではない。
妹を自殺に追いやった事から、性暴力は大嫌い。
戦闘
『商会一か弱い男』を自称しているが、か弱いの意味を千回は問い質したくなる程度には強い。情報屋、のステータスに見合わぬ武闘派であり、仮にも竜種であるエヴァグリーンを手練手管で負かし、物理的に床を舐めさせたこともある。無論、情報戦、心理戦にも強く、敵に回した事をたっぷり後悔させられる事になる。
主武装はコルトパイソンだが、近接格闘戦も強い。
価値観、死生観など
商売人でありマフィアであるため、金の力は良く知っている。金は生命よりも重くなることがある。逆もまた然りであり、生命は軽々と消費しない。殺しは悪であり、社会に反していると考える。
しかしながら、彼に殺しの罪悪感はない。殺しは悪だが、それは社会に属する者にとっての事だからだ。仲間の死に悲しむことはあれど、犯罪を犯して悲しむことはない。
また、色違いであることに価値はない、そういう世界を渇望している。
生まれ
トヲラス人の父と、彼のアルス人の愛妾の下に生まれた。生涯の殆どをアルスで過ごしているため、トヲラスが母国であるという実感は薄い。父は正妻との間にも子があり、オルティの妹に当たる。
父はトヲラス系の大企業『アストラ商会』の会長を務めており、オルティはその長男。アルスの裏社会で生きることを決めた時に、家から自主的に勘当され、名前と家を捨てた。父および正妻との関係は良好だったが、そう生きたいとオルティが願ったため、父は止めなかった。
棄てた名はオルトミルフィ・アルタイル=アストラ。この事は幼馴染等、一部の関係者だけが知っている。自分では、アストラの家に迷惑にならないように、名乗らないようにしている。
家族、対人関係
・タリー
腹違いの妹。目に入れても痛くないほど可愛がっていた。彼女が自殺する原因となった、性暴力を深く憎んでいる。また、その犯人グループを今も探している。
・トラン
先代の会長であったトランは、第二の父親と言うべき存在。彼から教わった事は数知れず。トランが殺された事で、オルティは四ツ葉を継いだ。
・ロータス
右腕的な存在。トランが存命だった頃から、トランの息子同然の義兄弟同士の間柄。周りからは頼りない補佐官と思われがちだが、オルティ本人はかなり頼りにしている。
・アンブロシア、ヴァースラフ
ロータス同様、トランが息子同然に可愛がっていた少年たち。オルティ、ロータスとはそれぞれ義兄弟の間柄。アンブロシアはトランが亡くなる原因を作り、ヴァースラフはオルティに自分を殺させ、四ツ葉に仕立てた。
・サダルメリク
拾った不死者に『サダルメリク』の個性を与え、居場所を与えた。サダルメリクからも懐かれている。本当は、彼を戦場に出したくはない。
・メリーラム
傷だらけで棄てられ、死にそうになっていたメリーラムを助け、雇用した。周囲には愛妾だと思われているが、そういう関係ではないし、一度も抱いていない。衣装もオルティが用意したと思われている。
・エリー
亡きアンブロシアの妹。アンブロシアの代わりに彼女の身元を引き受け、受付嬢として雇用している。彼女から好意を向けられている事は知っているが、オルティが殺したも同然の、かつて親友だった男の妹を愛する事はできなかった。
・サリア
血の繋がらない娘。昔一度だけ相手をした娼妓から押し付けられ、引き取った。カタギの世界で生きてほしいという想いから、自分からは遠ざけて育てている。
・ナダレ、ダレン
スクール時代からの幼馴染。オルティの本名を知る数少ない人物。自分の外見をとやかく言わなかったのは彼らが初めてであり、いまだにその事を嬉しく思っている。
特にダレンは軍上層部への貴重なパイプでもあり、綿密に連絡を取り合っている。
・エヴァグリーン
オルティを始末しにきた殺し屋だが、仲間に引き入れ、最終的には互いに相棒のような立ち位置になった。オルティはエヴァグリーンを弟分か、あるいは息子のように思っている節がある。実は関係は旧く、かつてエヴァグリーンが、意図せずオルティの命を救ったことから始まっている。
プロフィール
血 族:トヲラス系鹿狼族
年 齢:39歳
誕生日:晩秋
身 長:193cm
体 格:筋肉質、大きめ
口 調:知的ではっきりしている
「では、今後ともご贔屓に、旦那。」
「エヴァグリーン、お前はもう少し、闘い方を覚えたほうがいいぜ。出撃する度にこれじゃあ、カーペットの替えが何枚あっても足りねぇよ。」
「俺は充分、幸せだった。今までもそうだし、これからもずっとそうだ。苦しくて泣きたいぐらい、本当に幸せなんだ。……大好きだよ、愛してる。」
ストーリー
・エヴァグリーンの襲撃を受け、仲間に引き込んだ。彼の目的に協力する代わり、自分を殺さないように契約。きっちり契約満了したが、エヴァグリーンはオルティを殺さず、これからも側にいる事を望んだ。
・ノエルの失踪後、ナダレに頼まれ、ノエルの行方を追った。しかし、後を追うように消えたナダレに調査結果を伝える事はできず、その全てはエヴァグリーンに託す事となった。
・遠国の超格上ヤクザクラン相手に取引交渉に行って、先方の頭領にいたく気に入られる。互いに互いの寂しさを埋めるように深く愛し合い、逢瀬を重ねるも、想いを伝える事ができないまま、羽化症の発症と共に身を引いた……のだが。
・生来、死病である、『羽化症』の潜在的な患者であり、20代の頃には、長生きはできないと宣告されていた。結果、43歳ごろに発症し、44歳で病没する。
・亡くなる前に一度だけ、想い人と再会を果たす。初めて想いを伝え合うことができ、彼の今後が気掛かりではありながらも、結末に満足していた。
・彼の死後、サリアの手により、クローバー貿易商会は呆気なく瓦解、壊滅する。