Noelle the Hydra
概要
竜種の殺し屋で構成された秘密組織、”猟竜”の存在は、実しやかに囁かれてはいるものの、噂に過ぎない。いくら人身を超えた力を持つ竜種だからといって、否、だからこそ、誰かが従えて殺し屋に仕立て上げるだなんて、荒唐無稽だ、ありえない——。
そうとも、その通り。想像力の欠如した、愚かで愛しい人類種。さっぱりと吹き飛ばした、人だった肉片の上に立ち、ノエルは悪戯っぽく瞳を釣り上げる。”猟竜”いちの殺し屋との呼び声高い、少女とも、少年ともつかない独特の雰囲気を感じさせる竜種。可憐に逞しく、高いヒールのブーツで血溜まりを踏み凛と立つ。
性格、気質
無邪気で愛らしく、冷酷で無慈悲。竜種の考え方は人のそれと異なるとはいえ、ノエルはあまりにも可愛らしく惨たらしい。生殺与奪の全てにおよそ躊躇というものがなく、人を殺した傍で人を生かしもするが、ノエルにとってそこに明確な基準などない。自らの興味の赴くままに選択する。強いて言うなら、ノエルの気分、というアトランダムで制御不能な判断基準に基づいているのだ。しかしながらノエルの行いは、殆どの場合、年相応の少年少女らしい振る舞いといえる。その全てに竜種の無茶苦茶な倫理観や、馬鹿馬鹿しいほどの身体能力が加味されているにすぎない。
竜種らしいといえばらしいのか、気に入った相手には目をかける。誰かを可愛がり側に置くこともあるが、ふと気づけば殺しているかもしれない。そしてそれを悔やむということもない。ノエル・ザ・ハイドラは130%気紛れでできている。
好きなもの、嫌いなもの
派手好きで暴れることが大好きで、大人しくしていることができない。上席の言いつけは守るが、他人に命令されることは嫌いで、意趣返しをするように命のかかった悪戯を敢行する。
他人に命令されること、ひいては他人に定義されることを好まない。自分は自分であり、竜種だとか、オスだとかメスだとか、そんな事はどうでもいいと思っている。それを決め付けられたりすることは不愉快で、まず間違いなく殺意を抱き、そのまま実行する。
食べ物はドーナツをこよなく愛しているが、その由来は不明。きいろいつぶつぶがついてるチョコ味のがすき。
戦闘
大抵の場合、手を抜いている。手を抜き、力を抜き、武装の油圧式パイルバンカーを片手に、派手に血飛沫を散らせて、楽にたくさんたっぷり殺す。ノエルにとって殺しは仕事なのだから、質よりも量を優先する。
実力は相当なものであるため、ノエルが本気を見せることは滅多にない。パイルバンカーを投げ捨てた時は本気のサイン。重い武装を捨て、圧倒的な速度と攻撃力を発揮する。
価値観、死生観など
ノエル本人にとって楽しいこと、面白いことを重要視する。それが社会的な規範や道徳を外れるものであったとしても、ノエルは一切気に留めない。当然のように殺し、当然のように楽しみ、相手や周囲がそれをどう思うか、なんてちっとも関係ない。ノエルは生きる事を全力で楽しんでいる。死ぬ時のことなんか考えたこともない。自分が死ぬとしたら、走りきった先で燃え尽きるように死ぬのだろうから、それで構わないのだ。
生まれ
猟竜の長、ロゥベルの血を分けて造られた人工竜種であり、母親はそもそも無く、試験官から研究室へ生まれてきた。ノエルはそれを特別な事とか、不幸な事とか、そうは思っていない。周りにいる竜種はみんなそうだ、卵の殻の代わりに、ガラスに包まれて生まれてきただけ。それは事実であり、過去であり、今のノエル自身になんの関わりもない事だろう。
ロゥベルには目をかけられていたが、だからといって愛情を注がれたわけではない。ほかの人工竜種と同じように扱われ、同じように戦闘訓練を施され、研究素材として育ってきた。その事にも不満はない。世界は決まりきっていて、単調で、退屈でつまらないものだと知っていたのだ。
だから、ナダレとの出会いがノエルの何かを変えるなんてことはちっともなかった。何もない出会いだった。何もなかったからこそ、それがノエルには嬉しかったのだ。
家族、対人関係
・ナダレ
家畜。家畜なので、充分可愛がって大事にしている。気が向いたら屠殺する予定らしい。
・ロゥベル
血縁上では父親に当たるが、別に何とも思っていない。反抗してみようと思ったことも、敬おうと思ったこともない。
・グリム
妹のような存在(血縁上は実際に妹に当たる)。何のかんのと世話を焼いている。
・リップ
嫌うほどでもないが、鬱陶しいので相手にしていない。
・キャロル
生真面目なキャロルと、無邪気で気まぐれなノエルは全く反りが合わない。互いに距離を置いている節がある。
・アリエル
これといった思い入れがない。てか二刀流ってグリムとキャラ被ってない?
プロフィール
血 族:竜種
年 齢:13歳
誕生日:12月25日
身 長:150cm前後
体 格:やや小柄で、少女らしい
口 調:無邪気
「すごい、命乞いのお手本みたい! 感動しちゃった!」
「へぇ、ボクと戦う気なんだ。いいよ、片手間に相手してあげる。カップ焼きそばとは言わないからさ、カップラーメン程度は持たせてよね。」
「本当にね、嬉しかったんだよ。ナダレさんが来てくれてさあ、嘘みたい、夢みたいって思ったんだ。……それだけで、ボクには充分だ。ありがとう、————………。」
ストーリー
・猟竜の一員として標的を追い詰めた先で、偶然にもナダレに現場を目撃される。ノエルは彼の命乞いをいたく気に入り、家畜と呼び可愛がることにした。
・猟竜の崩壊に伴い、妹のような存在であったグリムを喪う。ノエルは自身の為すべき事を考え、ナダレの前から姿を消した。
・傭兵稼業で身を立てながら、竜種の持つ特別な力が人類種に悪用されないための方策を練っていた。
・猟竜の残党、主に竜種の力を手に入れようとする者たちに捕えられ、実験体にされる。いかにノエルといえ、竜種の力を抑えられてしまえば、戦う力はあれどそこらの少年少女と大差がなく、脱出はことごとく失敗に終わった。
・諦めかけていたところへ、不意にナダレが救援に現れる。敢え無く討ち取られるナダレを愛おしいと思いこそすれ、哀れだとは思わなかった。故に、ノエルは魂を賭けて闘った。
・それは当然の敗北、当然の結末と言えた。しかしノエルは思いのほか、その結果に満足していた。既に息の絶えたナダレの頬を、髪を優しく撫で、ノエルは微笑み、微睡む。——ありがとう、ナダレさん。