オルティ・クラヴィアド

Ortie Claviad

オルティ4
previous arrow
next arrow

概要

クローバー貿易商会、2代目会長。
情報屋として名高く、迅速かつ的確な仕事ぶりで知られるアルス裏社会の名士である。魔術師、あるいはクランの名から、四ツ葉の王と呼ばれる。

プロフィール

血 族:トヲラス系鹿狼族

年 齢:39歳

誕生日:晩秋
身 長:193cm
体 格:筋肉質、大きめ
口 調:知的ではっきりしている

「では、今後ともご贔屓に。」
「この国とトヲラスは、戦争をしたからな。だから、ここでトヲラス人が生きていくには、ただ敬虔に暮らすだけでは足りなかったんだ。」
「エヴァグリーン。俺にはお前が必要だ。」

外見描写

伽羅の如く艶やかな褐色の肌に、絢なる白金色の髪がふわりと降りる。柔らかな髪質の前髪をゆるく左右に分けている。後髪は短く、手入れの行き届いた様子。碧の瞳は花蜜に浸したように、その下弦だけが金色に染まっている。長く豊かな睫、真っ直ぐで凛々しい目鼻立ち、形良く、瑞々しい唇。眉や顎髭は整えられ、甘やかな顔立ちを引き締める役を果たしている。左の頬に向かい傷があり、それさえも彼の魅力を引き上げている。僅かに尖る耳には、小さな四ツ葉の耳飾りを供えている。
上品な仕立てのスリーピースはお作法通り。ハット、サングラス、ネクタイ、コート、革靴、手袋、どれを取っても一級の品であり、よく手入れされていることが一目で伺える。極め付けには甘く苦く、複雑な深みのある馨。全てが完璧で、静謐で、当たり前のようにそこにある。

性質

いつも和やかに笑っているが、眼光には怜悧さが宿る。常に組織の利益を優先し、それを最大にする方法を採ることができる。狡猾で計算高く、いざという時には残酷な選択肢さえ厭わない。
商人としても非常に手厳しく、柔らかい態度の傍ら、常に最善手を差し続ける。何ひとつ、誰ひとり信じていない。彼の微笑はそう語っている。
一方で、商会の仲間たちの前では明るく鷹揚に振る舞う。しっかりと全員に目を配り、よくそれぞれの働きを見ている。理想的な同僚、上司である。

戦闘

商会一かよわい男を自称している。
事実、彼は何ら超常的な力などは持たず、汚れることを嫌うために戦闘行為そのものを嫌う。
しかし、ひとたび敵に回せば情報戦、心理戦、経済戦といった机上の戦いに一通り苦しめられることだろう。策を弄するのは得意中の得意である。
ついでに殴り合いでもそれなりに強い。すぐに手榴弾を投げてくる。

ストーリー

・大国アルスに呑まれ、漂うことしかできないトヲラス人は大勢いる。「クローバー貿易商会」は、そんなトヲラス人たちに雇用を生み出し、食い扶持を与えるために有る。
・先代の四ツ葉であるトランが落命したことで、オルティはその王座を継いだ。以来、2代目会長として四ツ葉の屋台骨を支えている。
・自分を殺す命を帯びたエヴァグリーンに襲撃を受けたが、取引に持ち込み逆に彼を迎え入れた。以来、殺し屋とその標的は、奇妙な雇用関係を続けている。

Read More – オルティは、

——何ひとつ正解にできなかった。
オルティ・クラヴィアドはいつもそうだ。いつだって無力さに苛まれながら、血に濡れた手で不正解を拾い上げる。

彼の華やかな見た目は、いつも災いの元になった。誰しもが彼の容姿を褒めそやしたけれど、そこに居るオルティを見てはいなかった。三毛猫みたいだ、と彼は思う。偶々、珍しい色柄に生まれついただけ。それだけで、まるで特別な価値があるかのように扱われ、実際には何もないのだと知られては謗られる。それは屈辱であり、理不尽だった。

容姿だって。妹を喪った時だって。先代の四ツ葉を救えなかった時でさえも。オルティは、”正解”に流されてしまえば良かったのだろう。少なくとも、今よりは呼吸がしやすかったはずだ。そうして、平凡でありきたりな人生を過ごす道もあったはずだ。

それでも、オルティは蕁麻の帷子を編むことを望んだ。険しい道だと知っていながら、自分にはこれしかないのだと薄らと笑う。どうせ制限付きの命なのだから、有意義に使うべきだと嘯く。
それは、自嘲に他ならず。
理由にすら、なっていなかった。

Read More – タリーの死

彼の妹は殺された。
16歳になったばかりの頃だった。
他者からの暴力によって、ではない。妹、タリーは自ら命を絶った。そして、妹を追い詰めたのは、他ならぬ彼自身であった。

トヲラス人の有力な男は、妻を複数持つのが普通だ。だから、彼とタリーの血の繋がりは半分だけだ。彼の母は父の愛妾である第二夫人で、タリーの母が第一夫人であった。それでも、親の事情などどこ吹く風に、タリーは誰よりも彼に懐いた。彼もタリーを大切にして、目に入れても痛くないほどに可愛がった。

……タリーが暴漢に襲われた理由は、定かではなかった。
トヲラス人というだけかもしれない。偶然そこに居ただけなのかも。どのみち理由があろうがなかろうが、彼にとっては赦し得ぬ事だ。同じことだった。それでも、妹の命までは奪われなかったことを、彼らの女神に感謝した。
ところがタリーは、男性をひどく恐れるようになっていた。見ず知らずの者ばかりではなく、兄のことさえ怖がり、傍に寄らせようとしなかった。彼にとって妹の最後の印象は、自分を怖がって泣き喚き暴れる姿である。そして、その現実に最も深く傷ついたのは、彼ではなくタリー自身であった。
タリーは兄を慕い、家族として愛していた。自分でも制御できない心と体の違和感が、彼女には耐え難かったのだ。だから、彼女は”殺された”のだった。ただひとつ、彼女が必至で暴行相手からもぎ取った、IDカードだけを形見にして。

彼は家族と縁を切り、キャリアも何もかもを投げ捨て、裏社会に身を置いた。IDカードの持ち主を探すために。
そしてそれが、オルティという男の始まりでもあった。

Read More – 四ツ葉の王

クローバー貿易商会、通称四ツ葉。アルス王国の中にありながら、トヲラス人のために在る城砦。
オルティは、先代四ツ葉ことトランの死によって、その玉座に座った2代目だ。

トランは、オルティが商会に身を寄せた目的を、復讐であると知っていた。それを止めさせることはしなかったけれど、彼の危うさもよく理解していた。だから、四ツ葉をオルティに継がせたのは、彼の親心であったと言える。つまり、いざ復讐を果たしてしまった時にも、オルティに拠所があるように。帰るべき場所を与えるために。

オルティは、自身のそうした脆さや危うさにひどく無自覚だ。後先を考えていないのではない。後先まで理路整然と考えたうえで、自身のことは二の次にしている。それは、多くの人々にとって理解し難い事だろう。特にエヴァグリーンには理解できないことだった。エヴァグリーンには自分の生命、生活以上に大切なことなど無い。ましてや他人のために疲弊して、押し潰されそうになるなんて。愚か以外の何者でもない。

そんなもの、王の器などではない。王亡き後の玉座にて、王を演じるだけの道化でしかない。
こんなに何もかもが嘘ばかりの人間を、エヴァグリーンは果たして見たことがなかった。否、それは嘘ですらなかった。オルティが欺いているものがあるとするなら、それはオルティ自身だからだ。だから、丁寧に嘘を剥がした末に、オルティという人間はどこにもいない。ただ柔らかく、静かに呼吸するだけの誰かの横顔がそこにあるだけだった。

それを暴いてしまったからなのか、それとも別の理由か。ともかくエヴァグリーンはその傍らを、決して離れようとはしなかった。
それは、死が二人を分つまで。